ChatGPTを使った成果物の確かめ方|建築士の責任
- ChatGPT で作った文や表を、そのまま仕事に使っていい?
- ChatGPT の成果物は、何を確かめればいい?
- 施主の情報を ChatGPT に入れていいか知りたい
英国王立建築家協会(RIBA)の2026年の調べでは、答えた事務所の74%が、AI を少なくとも一部の案件で使っています。しかし、AI の使い方の方針を文書で持つ事務所は約19%です。
ChatGPT の答えには、誤りが入ることがあります。ChatGPT を使って作った設計図書でも、記名するのは建築士です。
この記事では、ChatGPT の成果物を仕事に使う前に、何をどこで確かめるかを解説します。確かめる所は事実・数・法令・画像の形の4つで、施主の情報を入れる前の設定とプランも分かります。
この記事でいう成果物は、ChatGPT が作った文・表・画像・ファイルのことです。
ChatGPT の機能・プラン・規約は、2026年10月時点のものです。ChatGPTの成果物の責任が建築士にある理由

成果物を設計図書に入れれば、その設計図書に記名するのは建築士です。建築士法が、設計の中身を基準に合わせることと、設計図書への記名を、建築士に求めているためです。
建築士法は、建築士が法令と実務に通じ、公正かつ誠実に業務を行うよう定めています(第2条の2)。設計するときは、建物を法令や条例の基準に適合させなければなりません(第18条第1項)。
建築士は、設計の委託者に、設計の中身を適切に説明するよう努めます(第18条第2項)。設計を行ったら、設計図書に建築士である旨を表示して記名し、一部を変えたときも同じようにします(第20条第1項)。
そのため、ChatGPT に下書きさせた文や表も、設計図書に入れれば、記名した建築士の設計図書です。施主への説明の資料など、設計図書の外の成果物も、使う前にその資料を施主に出す人が確かめます。
ChatGPTの利用規約と公式の説明が求める確かめ

ChatGPT を作る OpenAI も、答えを使う側が確かめるよう求めています。
決まりがあるのは利用規約と使用に関するポリシーで、確かめ方を勧めるのは使い方の公式の説明(OpenAI の「Use ChatGPT」のページ)です。
利用規約は、答えがいつも正確とは限らないとし、唯一の情報源や専門家の助言の代わりにしないよう書いています。使う前に、必要に応じて人が確かめ、正しさと用途への合い方を見るのも、利用規約の求めです。
信用・雇用・住宅・法律など、ある人に法的・重大な影響を与える決定に、その人に関する答えを使わないことも、利用規約の決まりです。
使用に関するポリシーは、資格のある人の適切な関与なしに、資格の要る個別の助言(法律や医療など)をすることを、サービスを使えない目的に挙げています。
OpenAI の決まりは、法の要件や職業上の義務の代わりにはならない、とも書いています。
使い方の公式の説明が勧めるのは、最初の答えを下書きとして扱い、大事な数・名前・日付・主張を確かめることです。法律・お金・医療・セキュリティなどの大事な判断は、専門家が確かめるものとしています。
ChatGPTの成果物で確かめる4つの所

成果物で確かめる所は、公式の説明が挙げる名前・日付・主張・数に、建築の仕事で要る法令と画像を足した、次の4つです。名前・日付・主張は、事実にまとめます。
- 事実(名前・日付・主張)
- 数(面積・寸法・数量・金額)
- 法令
- 画像の形
事実(名前・日付・主張)
事実を確かめる先は、出典の原文です。答えに出典が付いていれば、出典のページを開いて、同じことが書かれているかを見ます。
出典が付いていない答えには、主な主張ごとに出典を挙げるよう頼めます。Web 検索で付いた出典も、開いて原文を確かめるのが公式の説明の勧めです。
数(面積・寸法・数量・金額)
数を確かめる先は、元の図面・見積書と、自分でした計算です。画像の中の物の数(窓や柱の本数など)を数えさせると、おおよその数になることがあります。
作られた表やプレゼンのファイルは、全部のページ・スライド・シートを開いて、数が元の資料と合うかを見ます。
法令
法令を確かめる先は、e-Gov 法令検索の原文です。e-Gov 法令検索は、法律・政令・府省令などの中身を検索して読める国のサイトです。
用途地域などの敷地の条件は、自治体の都市計画図や窓口で確かめます。条例も、建築基準法とは別に確かめておきます。
画像の形
画像の形を確かめる先は、元の図面・スケッチ・写真です。公式の説明は、画像を直すときに、変えることと変えないことをはっきり言うよう勧めています。
1回に直す所を1つにすると、構図やほかの所がずれにくい、というのも公式の説明です。ずれにくくしても、窓の数や建物の形が変わっていないかは、元の図面と並べて見ます。
施主の情報を入れる前に確かめる設定とプラン

ここまでは出てきた答えの確かめで、施主の情報には入れる前の確かめもあります。施主の名前・住所・図面を入れる前に確かめたいのは、入れた会話が学習に使われるかです。
ChatGPT の学習とは、入れた会話が OpenAI の AI の改善に使われることを言います。確かめる設定とプランは、次の3つです。
- 会話の学習の設定
- 一時チャット
- 組織向けのプラン
会話の学習の設定
会話の学習の設定は、入れた会話を AI の改善に使わせるかを決めます。Free・Plus・Pro などの個人のプランでこの設定が入っていると、会話が学習に使われることがあります。
この設定を切ったあとの新しい会話は、学習に使われず、履歴に残るだけです。ただし、設定を切っていても、答えに良い・悪いの評価を付けた会話は、その全体が学習に使われることがあります。
一時チャット
一時チャットは、保存(普通のチャットとして履歴に残すこと)をしないかぎり、履歴に残らず学習にも使われない会話です。安全のために、写しが OpenAI に30日まで残ることがあります。
組織向けのプラン
会社や学校などの組織向けのプラン(Business・Enterprise・Edu など)では、組織のデータは、設定を変えなくても学習に使われません。
施主の情報は、この3つのどれかで学習に使われないことを確かめてから入れます。学習のほかに確かめたいのが、事務所の決まりと施主との約束です。
設定の場所は「ChatGPTのモデルの学習に使わせない設定|データコントロール」(準備中)で解説します。
ChatGPTの成果物は、4つの所を確かめてから仕事に使おう

設計図書に入れた成果物の責任を負うのは、記名した建築士です。仕事に使う前に確かめる所は、次の4つです。
- 事実(名前・日付・主張)
- 数(面積・寸法・数量・金額)
- 法令
- 画像の形
次に成果物を使うときは、この4つを元の資料で確かめてみてください。
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