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Blenderでコンクリートをリアルに見せるマテリアル設定|打ち放し・モルタルの質感再現

編集部 読了 約26分

打ち放しコンクリートの質感は建築パースのリアリティを左右する代表的素材で、Roughness や Base Color を単純な単値で設定するとプラスチック的でのっぺりした見た目になってしまいます。型枠の押さえ跡、Pコン(セパレーター用タイ穴)の縁の影、骨材の色ムラを1層ずつノードで重ねていくことが、説得力のあるコンクリ表現の土台になります。

この記事では、打ち放し・モルタル・ブロック3仕上げの設定値、Pコン跡や雨染みのノード構成、無料PBR4サイトの使い分けまでを建築archviz(建築ビジュアライゼーション制作)向けに整理します。Blender LTS 4.5 と 5.1 の2系統で動作確認済みで、5.x SSS Random Walk のコンクリ系応用にも触れます。本文の数値は2026年5月時点の公式リリースノートと海外PBR基準を編集部が照合した調査ベースの範囲です。

コンクリート仕上げの種類と光学特性

建築archvizで頻出するコンクリは、打ち放し・モルタル・コンクリートブロックの3種類で、Roughness と Base Color、Normalマップの強度の組み合わせで描き分けられます。仕上げの違いは「表面の粗さ」「明るさ」「凹凸の強さ」の3軸として整理できます。

打ち放し・モルタル・ブロックの違いを設定値で理解する

3仕上げの設定値早見表は次のとおりです(2026年5月時点、海外PBR基準と編集部の調査ベース)。

仕上げBase Color(RGB)RoughnessNormalマップ強度用途
打ち放しコンクリート0.3〜0.5(暗めグレー、中央値 0.4)0.7〜0.850.5〜1.0(型枠跡 0.8〜1.0 / 気泡跡 0.5〜0.7)安藤忠雄系住宅・アート系外壁・内壁打ち放し
モルタル仕上げ0.6〜0.8(明るめグレー)0.5〜0.70.2〜0.5(コテ目の微細凹凸)住宅内壁・天井・外壁上塗り・店舗・オフィス
コンクリートブロック0.45〜0.6(中間グレー)0.65〜0.80.4〜0.7(成形型のテクスチャ)倉庫・駐車場・店舗外壁・塀

3種類すべてに共通する原則として、Metallic は 0.0 で固定します。コンクリは非金属なのでPBR の物理原則どおりに0で運用するのが正解です。IOR は既定値の 1.45 のままで問題なく、コンクリは非透過素材のため Transmission Weight も触りません。

打ち放しコンクリは型枠の木目や Pコン跡が残る粗い表情が特徴で、Roughness が 0.7 を下回ると新築モルタルや塗装面に見えてしまいます。モルタルはコテ仕上げの均一で滑らかな表面なので、Roughness を 0.5〜0.7 に絞ると質感が一致します。コンクリートブロックは成形型のテクスチャと目地が規則的に並ぶので、Normalマップで型のパターンを表現するのが定石です。

なぜBlenderでコンクリートは「嘘っぽく」見えるのか

コンクリが嘘っぽく見える典型的な原因は3つあります。どれも初学者が最初につまずく定番ポイントなので、順に確認してみましょう。

ひとつ目は、Roughness を単一値で均一に塗ってしまう問題です。実際のコンクリは型枠で押さえた跡や劣化具合、湿気の残り方で Roughness にムラが出るのが普通です。0.8 を単値で全面に当てると、人工的でのっぺりした質感になりがち。Noise Texture と Color Ramp を組み合わせて Roughness にゆらぎを与えるだけで、印象が一段変わる場面が増えてきます。

ふたつ目は、Base Color が均一なグレー1色になっていることです。コンクリは骨材(砂利・砂・セメント)の混合具合で必ず色ムラが出ます。Noise Texture を Mix Factor 0.05〜0.15 で薄く重ねると、骨材ムラが自然に再現され、説得力が一段上がります。

みっつ目は、Normal マップなしで「つるり」とした表面で仕上げてしまうことです。打ち放しの型枠跡・気泡跡・コテ目の微細凹凸は、Normal マップでなければ再現できません。

Blender 5.0 で Principled BSDF が OpenPBR Surface(Pixar・Autodesk・Adobe等が策定した業界共通仕様)に正式準拠しました(Blender 5.0: Rendering Shader Nodes 公式リリースノート)。この準拠で D5 Render や Substance Painter、Unreal Engine とのコンクリマテリアル互換性が向上しています。外部ツールにエクスポートしても色味や反射特性が大きく崩れにくくなっており、完全互換に向けたロードマップ(Issue #145127)も2026年内に進行中です。Roughness・Metallic の基本的な考え方はBlenderマテリアル設定入門|建築4素材のPBRパラメータと設定値を整理でまとめています。

打ち放しコンクリートのマテリアル設定

打ち放しコンクリは、Base Color と Roughness の基本2層に、Normal マップで型枠跡・Pコン跡・気泡跡を加え、Noise Texture で骨材の色ムラを乗せる4層構造で組み立てます。テクスチャがなくてもプロシージャルで近い質感を作る方法もあるので、近景と遠景で使い分けます。

Base ColorとRoughnessの設定(打ち放し)

打ち放しの Base Color は RGB 0.3〜0.5、中央値 0.4 が安全圏です。0.5 を超えると新築モルタル寄りに見えて重厚感が失われます。寒色寄り(RGB 0.4、0.42、0.44 のような調整)にするとシャープな打ち放し印象になります。暖色寄り(RGB 0.42、0.40、0.38)にすると経年の風合いが出る寄り方です。

Roughness は 0.7〜0.85 が基本帯です。海外の PBR 基準(Roughness Setting Reference|sameerbaloch.com)でもコンクリは 0.7〜0.9 の範囲で扱われており、Physically Based PBR DB のコンクリート値とも整合します。

Metallic は必ず 0.0 にします。コンクリで Metallic を 0.5 のような中間値にすると、現実に存在しない見た目になります。Principled BSDF v2(Blender 4.0 以降)では旧 Specular がスカラの「Specular IOR Level」と「Specular Tint」に再編されました。ただし IOR は既定の 1.45 のままで、コンクリは非透過素材なので追加調整は不要です。

Normalマップで型枠跡・気泡跡を表現する

打ち放しの表情を決めるのは Normal マップによる凹凸表現です。接続は Image Texture → Normal Map ノード → Principled BSDF の Normal 端子、の3点が標準形になります。

ここで最頻出の失敗が Color Space の設定漏れです。Image Texture ノードの Color Space は必ず「Non-Color」に変更してください。sRGB のままだとガンマ補正で凹凸方向が歪み、Normal マップを繋いだのに凹凸が出ない症状の8割がこの設定漏れに起因します。

Normal Map ノードの強さは、型枠跡が支配的な面は 0.8〜1.0、気泡跡が中心の面は 0.5〜0.7 が建築実務での目安です。Pコン跡入りの無料テクスチャとしては、3dtextures.me の Concrete Wall Formwork 016 シリーズ(CC0、1K〜2K無料)が建築archvizでよく使われます。

微細な粒子感を追加したいときは、Normal Map に Bump ノードを直列で挟む二段構えが効きます。接続は Image Texture(Normal)→ Normal Map → Bump(Distance 0.1〜0.2、Noise Texture Scale 200〜500 を入力)→ Principled BSDF、の流れです。大きな凹凸を Normal で、微細な粒子感を Bump で重ねる構成になります。

Cycles では Adaptive Subdivision を組み合わせて実深度ディスプレイスを使えます(Adaptive Subdivision|Blender 5.1 Manual)。Material の Surface を「Bump Only」から「Displacement and Bump」に切り替え、Subdivision Surface Modifier を追加するのが基本手順です。あとは Displacement Scale 0.02〜0.05 で Pコン跡を物理的な凹みとして再現できます。Eevee Next は Adaptive Subdivision に対応していないので、Bump と Normal の重ね使いで近づける運用が現実解です。

Normal Map と Bump ノードの基本操作はBlenderノードエディターで建築マテリアルを作る方法|実務で使う6パターンでノード接続の6パターンを解説しています。

色ムラの追加でリアリティを高める(Noise Texture + MixRGB)

骨材ムラや湿気ムラは、Noise Texture と MixRGB の組み合わせで Base Color に薄く重ねます。接続は Noise Texture(Scale 5〜20、Detail 8〜12)→ Color Ramp(グレー 0.3〜0.6 に絞る)→ MixRGB(Multiply または Overlay、Fac 0.05〜0.15)→ Principled BSDF の Base Color、の流れです。

Mix Factor が 0.2 を超えると人工的なまだら模様に見えるので、0.05〜0.15 の控えめな範囲で重ねるのがコツです。Texture Coordinate ノードの UV 出力を使うのが基本で、UV 展開済みのメッシュであれば自然に貼られます。UV 展開していないオブジェクトでは Generated 出力でも代用できますが、形状依存のムラになりやすく、平面と曲面で見え方が異なる点を把握しておいてください。

テクスチャスケールの調整やタイリングの詳細はBlender UV展開4手順|建築パースのSeam設定と実寸スケール調整で実寸スケール式(Scale = 1 / 実寸m)と建材別の推奨値をまとめています。

プロシージャルでコンクリートを作る(テクスチャ不使用)

画像テクスチャを使わずにノードだけでコンクリを構築する選択肢もあります。骨格は3ノード構成です。

ひとつ目は Noise Texture(Scale 5〜20、Detail 10〜12)で大きな色ムラを生成する役割です。ふたつ目は Voronoi Texture(Scale 100〜200、Smoothness 0.3〜0.5、Distance 出力 → Bump ノード)で表面の粒子感を作るパート。みっつ目の Color Ramp で色域を 0.3〜0.5 のグレーに圧縮します。これらを Principled BSDF の Base Color と Normal に流すと、画像テクスチャ特有のタイリングの繰り返し感がまったく出ないコンクリができます。

プロシージャル構築の強みはタイリングの繰り返しが目立たないこと、弱みは近景(カメラから2m以内)で PBR テクスチャの細部情報量に届かないことです。型枠跡や Pコン跡など建築特有のディテールは Normal マップ画像が必須になるので、近景の中心壁面は PBR テクスチャ、遠景・反復配置はプロシージャル、というハイブリッドが建築archvizの標準運用になります。

モルタル仕上げのマテリアル設定

モルタル仕上げは、打ち放しコンクリと同じ系統の素材ですが「均一・滑らか・明るい」の3点が違います。設定値の差を理解すれば、打ち放しのテクスチャをモルタルに流用してしまう失敗を避けられます。

モルタル仕上げの設定値と打ち放しとの違い

モルタル仕上げの Base Color は RGB 0.6〜0.8 と明るめのグレーで、打ち放しと同じテクスチャを当てると暗くなりすぎます。プラスター系のテクスチャを当てるか、Base Color を明るくシフトする調整が必要です。

Roughness は 0.5〜0.7 で、コテ押さえの滑らかな表面に若干の艶を残します。Roughness が 0.5 を下回るとプラスチックや塗装面のような印象になるので、最低 0.5 は維持してください。Metallic は打ち放しと同じく 0.0 で固定です。

Normal マップ強さは 0.2〜0.5 に控えめにします。モルタルでは型枠跡や Pコン跡を表現せず、コテ目の微細凹凸のみを表現するためです。型枠コンクリート用のテクスチャをそのまま流用するとモルタルらしさが消えてしまうので、プラスター系の細目テクスチャを使うか、後述の Bump ノード代替で対応します。

コテ目の微細凹凸をノードで表現する

モルタルのコテ目は、Noise Texture を微細スケールで Bump に渡す構成で再現できます。接続は Noise Texture(Scale 30〜60、Detail 12〜16)→ Bump Map ノード → Principled BSDF の Normal 入力、の流れです。

Bump Map の強さは 0.1〜0.3 が現実的な範囲で、強くしすぎるとゴム面のような表情になります。さらに Roughness にもわずかなムラを乗せると、コテ塗りらしい揺らぎが見えてくる仕上がりです。別の Noise Texture(Scale 10〜30、Detail 8〜12)→ Color Ramp(0.5〜0.7 に絞る)→ MixRGB(Fac 0.03〜0.08)→ Roughness、の接続でムラを薄く重ねるのがコツです。

住宅案件の内壁モルタル仕上げや寝室・廊下で、Bump とRoughness ムラを併用すると「塗装のような均一感」から「コテ塗りらしい揺らぎ」に印象が変わります。

汚れ・染みと経年変化の表現

建築archvizで仕上がりが一段引き締まる要素は汚れ表現です。屋外の雨染み・経年変色・凹部の汚れ集中の3点を組み合わせると、新築のフラットな印象から実物の建物に近い表情へ近づきます。

屋外コンクリートの雨染み・汚れを追加する

屋外コンクリの雨染みは、Gradient Texture を使って下部に汚れを集中させる構成で再現できます。接続は Texture Coordinate(Object 出力)→ Gradient Texture(Type: Linear)→ Color Ramp(上:白 / 下:黒)→ Mix Shader(ベース Principled BSDF + 汚れ用 Diffuse BSDF)、の流れです。

Gradient 方向を -Z(下方向)にすると、建物下部ほど汚れが乗ります。Mix Factor は 0.2〜0.4 が現実的な目安で、露天駐車場の擁壁や庇のない外壁、雨ざらしの塀では 0.4〜0.6、庇下や屋根に守られた壁面では 0.1 程度に調整します。

屋外コンクリと屋内コンクリの設定上の最大の違いは、この雨染み Gradient の有無です。屋内向けでは雨染みは不要で、局所的な汚れ(Voronoi Texture ベース)のみを軽く乗せます。

屋内コンクリートの仕上げと屋外との設定の違いまとめ

屋外と屋内の設定差を整理すると、それぞれ次のような傾向になります。

屋外設定では、Roughness を 0.75〜0.85 とやや高めにし、Base Color を暗めグレー(0.3〜0.45)に寄せます。Normal は強め(0.7〜1.0)にして、雨染み Gradient と経年変色 Noise Texture(Type: Multifractal)を重ねます。

屋内設定では、Roughness を 0.6〜0.75 と中程度にし、Base Color は明るめグレー(0.5〜0.65)が中心です。Normal は弱め(0.3〜0.6)で、雨染み Gradient は不使用、局所汚れ(Voronoi Texture ベース)のみ追加します。住宅地下室、店舗の打ち放し内装、オフィスエントランスなどが屋内代表シーンになります。

ここで重要な注意点があります。経年変色レシピで使われていた Musgrave Texture は Blender 4.1 で削除されており、現行のノードリストから消えています。代替として Noise Texture を使う際は、Type を「Multifractal」に切り替えて Scale 2〜5、Detail 10〜15、Roughness 0.5〜0.7 で運用します(CG Cookie Community: Musgrave移行先)。日本語圏には Musgrave 前提の古いチュートリアルが残存しているので、コピーすると「ノードが見つからない」と詰まります。

凹部の汚れをPointinessで集中させる(Cycles)/AOノード(Eevee Next)

型枠の継ぎ目や Pコン跡の縁、気泡跡の縁に汚れを集中させると、リアリティが一段上がります。エンジンによって使うノードが違うので、Cycles と Eevee Next で構成を切り替えます。

Cycles では、Geometry ノードの Pointiness 出力 → Color Ramp → Mix Shader 係数、という構成が定番です。Color Ramp のストッパーを「白0.4〜0.5、黒0.5〜0.6」と中央付近で鋭く絞ると、凹部だけに汚れが集中します。注意点として、Pointiness は Subdivision Surface Modifier で細分化レベルが上がると効果が弱まる性質があります。細分化されるほど面の角度差が滑らかになり、Pointiness が拾う「とがり」が薄まるためです。コンクリ柱や梁にサブディビをかける場合は、Pointiness の Color Ramp を強めに絞る必要があります(T62611 Pointiness behavior with subdivision)。

Eevee Next は Pointiness に対応していないので、Ambient Occlusion ノード(半径 0.05〜0.2)→ Color Ramp → Mix Shader、で代替します。Mapping ノードでスケールを微調整しながら、Cycles と近い見え方を目指す運用です。Cycles でも AO シェーダノードは使えます。ただしレンダリングコストが大きいため、Cycles では Pointiness 優先、Eevee Next では AO 中心、と使い分けるのが効率的です(Ambient occlusion in Blender|Artisticrender)。

この Pointiness / AO 集中の構造は、金属の錆・木材の経年汚れ・タイル目地などにも応用できる汎用パターンで、ノードグループ化して保存しておくと長く効きます(Procedural Shading Fundamentals|Blender Studio)。

Blender 5.x で何が変わったか|コンクリ作業に効く改良点

Blender 5.x はコンクリ作業に直接効く改良が複数含まれていて、特に 5.0 の OpenPBR Surface 正式準拠と SSS Random Walk variant 改良は建築archvizで意味があります。5.x の変更点をひとつのH2にまとめて押さえておきます。

OpenPBR Surface 正式準拠|D5・Substance・Unreal連携時の安心

Blender 5.0 で Principled BSDF が OpenPBR Surface(Pixar・Autodesk・Adobe等が策定した業界共通仕様)に正式準拠しました(Blender 5.0: Rendering Shader Nodes 公式リリースノート)。建築archvizで効くのは、外部ツール連携時の互換性向上です。

D5 Render、Substance Painter、Unreal Engine とのコンクリマテリアル互換性が上がり、Blender で組んだ打ち放しを D5 にエクスポートしても色味や反射特性が大きく崩れにくくなります。OpenPBR 完全互換に向けたロードマップ(Issue #145127)も2026年内に進行中なので、今後さらに連携の安定性が高まっていく方向です。

既存の .blend ファイルは自動移行され、視覚的な差分は軽微です。コンクリで使う Base Color / Roughness / Normal / Bump は OpenPBR の中核パラメータで仕様が安定しているので、4.x で作ったコンクリマテリアルがそのまま 5.x でも動きます。

SSS Random Walk variant 改良|人造石・薄板テラゾーへの発展

Blender 5.x で Subsurface Scattering の Random Walk variant が改良されました(Blender 5.0 Cycles 公式リリースノート)。改良点は2つで、Color / Anisotropy / IOR が Radius を変調するようになったこと、そして multi-bounce 化により darkening artifacts(暗くなる現象)が軽減されたことです。レンダリング時間と引き換えではありますが、SSS の精度が一段上がっています。

通常のコンクリ(打ち放し・モルタル・ブロック)には SSS は不要で、不透明素材なので影響はありません。SSS が効くのはコンクリ系発展素材で、人造大理石(テラゾー)、薄板トラバーチン、樹脂含浸コンクリ(LiTraCon系)といった「半透明感のあるコンクリ系建材」に限定されます。

素材Subsurface MethodSubsurface RadiusSubsurface Color用途
人造大理石(テラゾー)Random Walk0.05〜0.15Base Colorと同色〜少し暖かい色商業施設床・内装エントランス・住宅キッチン天板
薄板トラバーチンRandom Walk0.05〜0.10Base Colorと同色バックライト演出のある内装パネル
樹脂含浸コンクリ(LiTraCon系)Random Walk0.10〜0.20やや暖かい白〜オフホワイト透光コンクリート建材

Random Walk は真の volumetric scattering をメッシュ内部で計算する仕組みなので、穴の開いた面や重複面のある不正なメッシュでは結果が崩れます。閉じたメッシュ(穴・重複面なし)が前提になる点は実装前に確認しておきたいポイントです。

これらの発展素材の詳細実装はBlender建築パース マテリアル6テクニック|タイル・壁紙・ファブリック・植栽・夜景の質感設定で工程順にまとめています。

4.1 Musgrave 削除と LTS 4.5 / 5.1 二系統運用

コンクリ作業に効く既存の変更点として、Blender 4.1 で Musgrave Texture が Noise Texture に統合されたことは押さえておきたい変更です。換算式は Roughness = Lacunarity^(-Dimension) で、旧 Musgrave の Dimension パラメータは Noise Texture の Roughness で代替できます。

2026年5月時点での運用は、LTS 4.5(サポート〜2027年7月)を主軸に、新機能の検証用に5.1(2026年3月17日リリース)を別途置く二系統運用が現実的です。この記事の数値と接続は 4.5 LTS でも 5.1 でも動作確認済みで、OpenPBR Surface 準拠や SSS Random Walk 改良の恩恵を受けたい場合のみ 5.x を選択する判断ができます。次期LTSの5.2 LTSが2026年7月リリース予定でアナウンスされているので、本格的な乗り換えは5.2 LTSのリリース後を目処にすると安全です。

コンクリートテクスチャを編集部が試してみた所感

ここまでの内容を建築archviz案件で確認してみると、PBRテクスチャとプロシージャル構築の使い分けには明確な基準が出てきます。編集部が公式リリースノートや海外レビューを照らし合わせながら整理した、近景・中景・遠景での使い分けと、5.x の恩恵が効く場面をまとめます。

近景はPBRテクスチャ、遠景はプロシージャル、中景はハイブリッドが標準

近景(カメラから1〜2m以内、壁面が画面の3割以上)では、PBR テクスチャがプロシージャル構築より明確にリアルになります。3dtextures.me の Concrete Wall Formwork 016 系のような Pコン跡入りテクスチャでは、型枠跡・木目転写・気泡跡が物理的に正しい位置で揃うので、プロシージャルでは出しにくい説得力が出ます。

1K テクスチャでも近景に耐えますが、A1サイズのコンペボード用途では 4K 以上が安心です。3dtextures.me の無料分は1K〜2K、4K以上は Patreon 支援者向けの配布になっています。

遠景(カメラから10m以上、同じ壁面が複数階繰り返される)では、画像テクスチャよりプロシージャル構築のほうが結果が安定します。Noise Texture と Voronoi Texture と Color Ramp の3点でタイリングの繰り返しパターンが消えるので、マンション外壁や橋脚・擁壁・倉庫の遠景で重宝します。

中景(2〜10m)では、ハイブリッドが安定します。PBR テクスチャをベースに Noise Texture で色ムラを薄く重ねる構成が、近景のディテール感と遠景の繰り返し回避を両立させてくれます。

実深度ディスプレイスはCycles近景クローズアップ専用、5.0 OpenPBR Surface 準拠は外部連携で効く

Adaptive Subdivision を組み合わせた実深度ディスプレイス(Displacement and Bump)は Cycles 近景クローズアップ専用と考えるのが現実的です。レンダリング時間が体感で2〜3倍になるので、引きの絵には Bump と Normal の重ねで十分です。Eevee Next では Adaptive Subdivision 自体が使えないので、Bump 限定の運用になります。

編集部としては、近景のメインカットだけ Cycles の実深度を使い、その他のカットは Eevee Next で Bump 仕上げ、という二段構えを基本運用としています。

Blender 5.0 OpenPBR Surface 正式準拠については、公式リリースノートと海外レビューを照らした整理が参考になります。Blender 5.0 から D5 Render への書き出しでは、コンクリの Roughness・Base Color・Normal が D5 側でも安定して再現される設計です。4.x 時代より外部連携時の調整工数が減る方向に進んでいます。

注意点としては、Blender 4.1 で削除された Musgrave Texture を前提にした古いチュートリアルが日本語圏に多く残存していることです。YouTube・ブログを含めて Musgrave 前提のコンクリレシピが目に入る頻度は2026年時点でも高く、コピーすると「ノードが見つからない」と止まります。Noise Texture の Type を Multifractal に切り替えて代替する運用に慣れておくと、教材選びで困らなくなります。

無料PBRテクスチャ素材の入手と使い方

コンクリのPBRテクスチャは無料で入手できる選択肢が充実しています。建築archvizで使える4サイトを押さえておくと、案件ごとに素材選びの幅が広がります。

コンクリートPBRテクスチャの無料入手先4選

2026年5月時点の主要4サイトの特徴は次のとおりです。

サイト主なラインナップ最大解像度ライセンス特徴
ambientCGConcrete001〜040+(打ち放し・床・外壁)8KCC0(帰属表示不要・商用可)数が豊富、ログイン不要
Poly Havenコンクリ壁・床・パネル各種8KCC0(帰属表示不要・商用可)weathered系が充実
3dtextures.me型枠コンクリ(Formwork)特化あり1K〜2K(無料)/ 4K以上は支援者向けCC0(無料分)打ち放しのPコン跡入り
Fab(旧Quixel Megascans)スキャンベース高品質コンクリ8KCC-BY-NC(商用可・帰属表示必須)Epic Games運営、登録要

ambientCG はConcrete カテゴリに40種以上のコンクリPBRセットがあり、CC0 でログイン不要のため最初の選択肢として効率がよくなっています。Color・Normal・Roughness・Displacement・AO をPBRセット一括ダウンロードできるので、建築archvizでの導入工数が抑えられます。

Poly Haven はTextures カテゴリで CC0・8K対応のコンクリが揃います。weathered(経年劣化)系の素材が充実していて、汚れや染みが既に焼き込まれた素材を使うと、Blender 側の汚れノード組みの手間が減らせます。

3dtextures.me はConcrete カテゴリで打ち放し特化の素材が見つかります。Concrete Wall Formwork シリーズは Pコン跡・型枠継ぎ目・木目転写が物理的に正しい位置で揃っているので、安藤忠雄系の打ち放し住宅プロジェクトで真価が出ます。無料分は1K〜2K、4K以上は Patreon 支援者向けです。

Fab はQuixel Megascans の移管先で、Epic Games が運営しています。CC-BY-NC(商用可・帰属表示必須)で、アカウント登録が必要ですが、8K スキャン素材の品質は無料系の中で群を抜いています。商用利用時の帰属表示は規約をよく読んで運用してください。Fab は2026年も移管中で配布形態が変動する可能性があるので、案件着手前に最新の利用条件を確認するのが安全です。

Blenderへのインポート手順(基本)

PBRテクスチャセットを Blender に取り込む最短手順は次のとおりです。

必要なマップは Color(Base Color)、Normal、Roughness の3点が最低限で、Displacement と Ambient Occlusion があれば近景の精度がさらに上がります。接続は Image Texture を各マップごとに用意して、Color は Base Color、Normal は Normal Map ノードを挟んで Normal 端子、Roughness はそのまま Roughness 端子につなぎます。

Normal と Roughness の Image Texture の Color Space は必ず「Non-Color」に変更してください。最頻出の失敗パターンで、Non-Color にしないと Normal マップが効かない、Roughness が反映されない症状が出ます。

UV スケール調整は、Texture Coordinate の UV 出力 → Mapping ノードの Scale で壁面サイズに合わせて倍率を入れます。1m × 2m のテクスチャを高さ3m の壁面に貼る場合は Scale Y を 1.5 に設定する、というような実寸計算が基本です。UV展開と実寸スケール調整の詳細はBlender UV展開4手順|建築パースのSeam設定と実寸スケール調整で Mapping ノードの実寸式(Scale = 1 / 実寸m)と建材別の推奨値をまとめています。

コンクリートマテリアルを整えた先の活用シーン

コンクリマテリアルの4層構造(Base Color / Roughness / Normal / 色ムラ)を体に入れると、建築archvizの仕上がりは段階的に変わっていきます。

住宅・店舗・オフィス案件のリアリティが安定する

打ち放しの内装提案、コンクリ打ちっ放し外壁、モルタル仕上げ天井のような日本建築で頻出する素材が、即座に出せるようになります。安藤忠雄系の打ち放し住宅、無印良品の家系の白モルタル、SANAA の半透明感のある内装といった有名建築の参照表現も、設定値ベースで再現に近づけられます。

コンペボードや施主向けプレゼン、設計提案など、コンクリの質感で差がつく場面で説得力が一段上がります。打ち放しが「プラスチックに見える」状態から「実物の打ち放しに見える」状態への移行が、もっとも大きな成果です。

素材ライブラリ化と隣接素材への展開

打ち放し・モルタル・ブロックを Cycles 用と Eevee Next 用で組み、ノードグループ化してアセットブラウザに登録すると、新プロジェクトで即座に呼び出せる資産になります。

雨染み Gradient や凹部汚れ Pointiness のノード構成は、金属の錆・木材の経年汚れ・タイル目地などにも応用できる汎用パターンで、コンクリで身につけた汎用性が他の素材でも長く効きます。

コンクリで身につけた「PBR3パラメータ + Normal マップ + 色ムラ + 汚れ」の4層構造は、Blender 建築マテリアル全般に通じる骨格です。木目(Blenderで木目を自然に見せるテクスチャ設定5ステップ)、ガラス(Blenderガラスが破綻する5つの原因と設定の直し方)、金属・タイル(Blender建築パース マテリアル6テクニック)へと展開していけます。

まとめ

Blenderでコンクリートをリアルに見せるための要点を5つに集約します。

  • 打ち放し / モルタル / ブロックの3仕上げは Roughness・Base Color・Normal マップ強度の差として整理できます。打ち放し Roughness 0.7〜0.85、モルタル 0.5〜0.7、ブロック 0.65〜0.8 が出発点です
  • Normal マップで型枠跡・Pコン跡・気泡跡を再現し、Noise Texture の色ムラを Mix Factor 0.05〜0.15 で重ねるのが基本構成です。Color Space を Non-Color にすることだけ忘れないでください
  • 屋外は Gradient で雨染みを追加し、凹部の汚れは Pointiness(Cycles)または AO(Eevee Next)で集中させます。エンジンによって最適ノードが変わります
  • Blender 4.1 で削除された Musgrave Texture は Noise Texture(Type: Multifractal)で代替できます。4.5 LTS / 5.1 共通で動きます
  • Blender 5.0 で OpenPBR Surface 正式準拠となり、D5・Substance・Unreal とのコンクリマテリアル互換性が向上しました。SSS Random Walk variant 改良でテラゾーや薄板トラバーチンといった発展素材まで扱えます