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AutoCAD属性ブロックの使い方|ATTDEFで情報を持たせ建具表を自動化

編集部 読了 約16分

AutoCAD属性ブロックの使い方|ATTDEFで情報を持たせ建具表を自動化

AutoCADの属性ブロックは、図面の見た目を変えずに、部品ひとつひとつへ文字情報を持たせるための仕組みです。同じ建具ブロックでも「W-1」「W-2」と個体ごとに違う符号や寸法を持たせられるので、あとからまとめて数を数えたり、表に落とし込んだりできます。

手作業で建具や機器を数えて拾い出す作業は、図面が更新されるたびにやり直しになり、時間もかかれば数え間違いも起きます。属性ブロックを使うと、この集計を図面から自動で吐き出せるようになります。

では、その自動化はどこから手をつければいいのでしょうか。

この記事では、属性定義(ATTDEF)で情報を持たせるところから、値の編集・同期、表記ゆれを防ぐブロックプロパティテーブルまでを順に解説します。そして最後に、データ抽出(DATAEXTRACTION)で建具表・機器表の元データにするところまで、実務の手順で進めます。ブロックそのものの作り方は前提として、属性の付与から話を始めます。

属性ブロックとは|図面の部品に「情報」を持たせる仕組み

属性ブロックとは、繰り返し使う図形部品(ブロック)に、部品番号や製品名といった文字データを紐づけたものです。この文字データを機械が読み取れる形で持たせておくと、あとで集計できる情報源に図面が変わります。

ブロックの定義・挿入・基点・分解といった基本操作は、この記事では前提とします。まだブロックづくりに不安がある場合は、ブロックの作成・挿入・編集の基本で先に土台を固めてから読み進めると理解が早くなります。

通常ブロックとの違い

通常のブロックは「形」だけを持ち、属性ブロックは「形+文字情報」を持ちます。ブロックは繰り返し使う図形部品で、属性はその部品に持たせる文字情報(符号・製品名・寸法など)という切り分けです。

属性の最大の特徴は、挿入するたびに違う値を入れられる点にあります。たとえば同じ窓ブロックを10か所に置いても、それぞれへ「W-1」「W-2」と別々の符号を持たせられます。だから図面上では同じ形でも、データとしては個体差のある部品として扱えます。

このしくみがあると、あとで「窓が全部で何枚あって、どの符号がいくつか」を図面から機械的に取り出せます。手で数えるかわりに、属性を集計すれば済むようになるわけです。

属性ブロックで何ができるようになるか

属性ブロックのゴールは、建具表・機器表・部品リストを図面から自動で作れる状態にすることです。属性を付ける、値を編集する、データを抽出する、という3段の流れで図面が「集計できる情報源」に変わります。

実務では、建具ブロックに符号・幅・高さ・種別を属性として持たせておけば、そのまま建具表の元データになります。図面を直せば再抽出で表も追従するので、拾い直しの手間が消えます。この到達点を頭に置いて、次からの手順を読むと迷いにくくなります。

属性定義(ATTDEF)の作り方と6つのモード

属性は、ATTDEFコマンドで「属性定義」を作り、それをブロックに含めることで機能します。定義を描いてからBLOCKまたはWBLOCKでブロック化する、というのが必須の順序です。

モード挙動使いどころ
Invisible(不可視)挿入時に画面へ表示しない。ATTDISPで一時表示に切り替え可能集計したいが図面には出したくない管理情報
Constant(固定)すべての参照で同じ固定値になり、挿入後は変更できない全部品で共通のシリーズ名・仕様区分
Verify(確認)挿入時に入力値の確認を求める入力ミスを避けたい重要な符号
Preset(既定)プロンプトを出さず既定値をそのまま入れるあとでまとめて直す前提の初期値
Lock position(位置ロック)属性のグリップ移動を固定するダイナミックブロック化するとき
Multiple lines(複数行)複数行の文字を属性として許可する仕様や注記など長めの文章

ソース: ATTDEF (Command)|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

ATTDEFダイアログの基本項目(タグ・プロンプト・既定値)

属性定義は、タグ・プロンプト・既定値の3つを決めれば作れます。タグは属性を識別する名前で、スペースは使えず、小文字は自動で大文字に直されます。

プロンプトは挿入するときに表示される入力の促し文で、空欄ならタグがそのまま促し文になります。既定値は最初から入っている初期値です。3つの役割を先に理解しておくと、あとの設計で迷いません。

建具ブロックを例にすると、タグを「符号」「幅」「高さ」「建具種別」のように設計します。この段階でタグをきれいに決めておくと、後段のデータ抽出で表の列がそのまま整うので、上流の設計がそのまま集計品質を左右します。

6つのモードの使い分け

モードは属性の振る舞いを決めるスイッチ。実務で効くのはInvisibleとConstantです。Invisibleは図面に表示せず情報だけ保持し、Constantは全参照で固定値になります。Verifyは入力の確認を促し、Presetは促しなしで既定値を入れます。

残る2つのうち、Lock positionは属性のグリップ移動を固定するモードで、ダイナミックブロック化するときに必要になります。Multiple linesは複数行テキストを許可します。

「画面には出したくないが集計はしたい」情報には、Invisibleが定番です。たとえば製番や管理コードを図面に印字せず、データとしてだけ持たせたいときに向いています。表示だけ一時的に確認したいなら、ATTDISP(属性の表示切替)でまとめてオンにできます。

挿入時の入力を制御する(ATTDIA / ATTREQ)

属性の入力方法は、ATTDIAとATTREQという2つのシステム変数で切り替えます。ATTDIAを1にするとダイアログで入力でき、0にするとコマンドラインでの入力になります。ATTREQを0にすると入力の促しそのものを省けます。

大量に挿入する場面では、この挙動を事前にそろえておくと入力ミスが減ります。たとえば同じ符号の建具を連続で置くとき、ダイアログが毎回開くと手が止まるので、運用に合わせて設定を決めておくと作業が安定します。

ソース: Commands for Block Attributes|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

属性値の編集・同期(EATTEDIT・BATTMAN・ATTSYNC)

挿入したあとの属性は、値の編集・定義の管理・全参照への同期という3つの操作で調整します。値を直すのはEATTEDIT、定義を整えるのはBATTMAN、変更を全部の参照に反映するのがATTSYNCです。

ここで気をつけたいのが、便利なATTSYNCには破壊的な副作用がある点です。あとで詳しく触れますが、実行の順序を間違えると、せっかくの書式調整が消えてしまいます。

個々の属性値を直す(EATTEDIT)

属性値は、EATTEDIT(拡張属性編集)で値と体裁を分けて直せます。ダイアログはAttribute(値の編集)、Text Options(文字スタイル・高さ・角度)、Properties(画層・色・線種・線の太さ)の3タブに分かれています。

属性をダブルクリックすると、このダイアログが直接開くので、日常の値直しはこの操作が最も速いといえます。重複したタグは赤で警告され、後段のデータ抽出で列がばらつく原因を早めに気づけます。

つまずきの多くは、この段階の設定で説明がつきます。挿入時に属性の入力を求められないときは、ATTREQが0になっている可能性があります。属性が図面に出てこないときは、Invisibleモードか、ATTDISPが表示オフになっていないかを疑うと原因にたどり着きます。

ソース: Enhanced Attribute Editor|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

定義そのものを管理する(BATTMAN)

BATTMAN(ブロック属性管理)は、ブロック定義の中にある属性の順序やプロパティを一括で整える機能です。並び順を直してSyncボタンを押すと、その変更を挿入済みの参照へ反映できます。

タグの並び順は、そのままデータ抽出したときの列の並びに影響します。だから抽出の前にタグ順を整えておくと、出てくる表がそのまま読みやすくなります。

重複したタグや、ブロック名の不統一は、抽出のときに列がばらついたり値が拾えなかったりする原因になります。建具表を作る前に、タグ名とタグ順、ブロック名をそろえておくと、上流の整えがそのまま集計の正確さにつながります。

ソース: Commands for Block Attributes|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

全参照へ一括反映するATTSYNCの注意点

ATTSYNCは、ブロック定義の属性変更をすべての参照へ一括で適用するコマンドですが、副作用が大きいので慎重に使います。ATTEDITやEATTEDITで加えた書式・プロパティの変更を削除し、ブロックに紐づく拡張データ(xdata)も削除します。

さらに、ダイナミックブロックや、サードパーティ製アプリで作られたブロックにも影響することがあります。つまり、個別に体裁を調整したあとで安易に実行すると、その調整が巻き戻ってしまいます。

実務では、タグ構成を固めてからATTSYNCで一気にそろえ、そのあとで個別の書式調整をかける、という順序が安全です。逆順にすると調整が消えるので、この運用の向きだけは覚えておくと事故を防げます。

ソース: ATTSYNC (Command)|Autodesk公式(2016〜2025各版で同一注記を確認、確認日2026-07-20)

ブロックプロパティテーブルで属性を「選べる値」にする

ブロックプロパティテーブルは、属性を「自由入力」から「規定リストからの選択」に変えて、表記ゆれを防ぐ仕組みです。値を選ぶだけで済むので、後段のデータ抽出で拾える情報の精度が上がります。

自由入力のままだと、同じ幅1200ミリの窓でも「W1200」「1200」「W-1200」と書き方がばらつきます。この揺れを入り口でそろえておくと、集計の段階で無駄な突き合わせが要らなくなります。

ブロックプロパティテーブルとは何か

ブロックプロパティテーブルは、ブロックエディタ(ブロックの中身を編集する専用画面)の中でのみ使える機能です。表の各行が「ブロック参照のバリエーション」を定義し、ルックアップグリップ(部品に付くドロップダウン)で行を選ぶと、そのバリエーションに切り替わります。

起動は、ブロックエディタのリボンにある「寸法」パネルから「ブロックプロパティテーブル」を選びます。表にはパラメータ・パラメータ拘束・ユーザーパラメータ・属性をまとめられ、それらを1つの表で連動させられます。

挿入後の部品には選択用のグリップが付くので、現場では行を選ぶだけでサイズや仕様を切り替えられます。ダイナミックブロックそのものの作り方は、ダイナミックブロックで1つの部品を可変化するで解説しています。この記事では属性との連携に絞ります。

ソース: About Using a Block Properties Table|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

属性を規定リスト化して表記ゆれを防ぐ

表の列に属性を含めておくと、行を選ぶだけで複数の属性値をまとめて切り替えられます。たとえば建具の型番を選ぶと、幅・高さ・仕様がその型番に対応した値へ一度に入ります。

この選択式が最も効くのは、複数人で図面を触るチーム作業です。誰が入力しても値が統一されるので、後段のデータ抽出で「同じ窓なのに別の符号として数えられる」といった取りこぼしが起きにくくなります。

自由入力を選択式に変えるだけで、抽出結果の正確さが目に見えて変わります。属性の値そのものを整える工程だと捉えると、位置づけがはっきりします。

データ抽出(DATAEXTRACTION)で建具表・機器表の元データにする

DATAEXTRACTIONは、ブロック属性や図面情報を集計して、図面内の表や外部ファイルへ書き出すコマンドです。属性を正しく入れておけば、建具・機器・什器の数量を図面から自動で拾えます。

抽出はウィザード形式で、各ページを順に進むだけで集計表ができます。複数の図面を横断して集計することもできるので、階ごとに分けた図面をまとめて拾う場面でも使えます。

ページやること
Begin(開始)新規抽出か、既存の.dxe設定を使うかを選ぶ
Define Data Source(データ元)対象の図面や範囲を指定する。複数図面も選べる
Select Objects(オブジェクト選択)抽出したいブロックを絞り込む
Select Properties(プロパティ選択)符号・幅・高さなど抽出する属性の列を選ぶ
Refine Data(データ整形)列の並べ替え・フィルタ・数式列・フッタ行を設定する
Choose Output(出力先)図面内テーブルか外部ファイル(Excel等)かを選ぶ
Table Style(表スタイル)挿入する表の見た目を指定する
Finish(完了)設定を.dxeに保存して抽出を実行する

ソース: About Data Extraction|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

データ抽出ウィザードの流れ

抽出の設定は.dxeファイルに保存され、図面を更新したあとの再抽出でそのまま追従できます。一度設定を作っておけば、次回からは同じ手順を繰り返さずに済みます。

ここで用途の使い分けを押さえておくと迷いません。個数だけを数えたいなら、COUNTコマンド(2022以降の標準機能)で画面上に一覧を出し、そのまま表や書き出しにできます。旧BCOUNTはExpress Toolsの機能で、現行ではCOUNTが後継です。

一方で、符号・寸法・種別を属性でグループ化した建具表・機器表が要るときは、DATAEXTRACTIONを使います。「数えるだけか、属性ごとにまとめた表が要るか」で選ぶと、手戻りが減ります。

ソース: DATAEXTRACTION (Command)|Autodesk公式(確認日2026-07-20) / Count Blocks Quickly|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

建具表・機器表として出力する

出力は、Choose Outputのページで「図面内にテーブルを挿入」か「外部ファイル(Excel等)へ出力」かを選びます。列の並べ替え・フィルタ・数式列・フッタ行・Excelとのデータリンクが使えるので、数量の合計行まで作れます。

建具ブロックに符号・幅・高さ・種別を属性で持たせておけば、抽出した表がそのまま建具表の元データになります。図面を直したあとに再抽出すれば、表の数量も追従するので、更新のたびに拾い直す必要がなくなります。

抽出したあとの表の書式・セル計算・フィールド連携は、テーブルとフィールドで自動更新する表を作るで解説しています。この記事は、表の元データを吐き出すところまでを担います。

LTでの制限に注意

AutoCAD LTは、DATAEXTRACTIONとEATTEXTに対応していません。LTで属性を書き出すときは、ATTEXT(テンプレート方式の属性書き出し)が代替になります。

ATTEXTは、抽出項目を指定したテンプレート(.txt)をあらかじめ用意して使います。出力形式は、CDF(カンマ区切り)とSDF(固定幅)が.txt、DXFが.dxxで、DXF形式ならテンプレートは要りません。書き出したファイルをExcelなどで開いて表に整えます。

単票の値をその場で確認したいだけなら、LISTコマンドでも属性値を読めます。本格的な書き出しはATTEXT、さっと確認はLIST、と軽重で使い分けると効率的です。エディションごとの価格・機能の違いは、db.persc.jpのAutoCAD LTの仕様・料金ページで確認できます。

ソース: Unknown command…AutoCAD LT|Autodesk公式(確認日2026-07-20) / How to extract block attributes in AutoCAD LT|Autodesk公式(確認日2026-07-20)

属性ブロックの運用についての編集部の所感

公式ドキュメントを読み解くと、属性ブロックで成果を左右するのは、コマンドの操作よりも上流のタグ設計だと言えます。編集部では、符号・幅・高さ・建具種別のように、抽出したい表の列をそのままタグ名にしておく設計を勧めています。

抽出がうまくいかない原因の多くは、タグ名やブロック名の不統一にあるという指摘が多く見られます。だから、いきなりDATAEXTRACTIONを走らせるのは避けます。先にBATTMANでタグ順をそろえ、ブロックプロパティテーブルで値を選択式にしておくと、結果の精度が安定します。

運用の順序でとくに注意したいのは、ATTSYNCの実行タイミングです。公式の注記どおり、個別の書式調整のあとにATTSYNCをかけると、その調整が消えてしまいます。編集部では「定義を固める→ATTSYNC→個別調整」の順を基本にすると事故が減ると見ています。

LTを使う現場では、DATAEXTRACTIONが無い前提で、ATTEXTとLISTを組み合わせた運用に割り切るのが現実的です。フル版へ寄せるかどうかは、扱う図面の規模と集計の頻度で判断するのがよいでしょう。

属性設計を整えた先に広がる図面運用の変化

属性ブロックを使いこなすと、図面が「絵」から「データを持った設計情報」へと変わります。属性を整えなかった現場では、建具や機器を数えるたびに手作業で拾い直す一方、整えた現場では図面を直せば再抽出で表が追従します。この差は、変更が多い実施設計の後半ほど大きく効いてきます。

たとえば、確認申請の直前に建具の仕様が一部変わったとしても、属性を持たせた建具ブロックなら、該当箇所を直して再抽出するだけで建具表が最新になります。数量の合計もその場で更新されるので、拾い漏れによる発注ミスを防ぎやすくなります。

この考え方は、部品に情報を持たせて設計を回すBIM(建物情報モデル)的な運用への入り口にもなります。属性で「符号・寸法・仕様」を管理する習慣は、より高度な情報連携へ進むときの土台になります。まずは身近な建具表・機器表の自動化から始めて、図面を情報源として扱う感覚を養うのが、次の一歩として取り組みやすい進め方です。

まとめ

属性ブロックは、図面の部品に機械が読み取れる情報を持たせ、集計できる図面に変える仕組みです。要点を整理すると、次の4点になります。

属性はATTDEFで定義し、Invisibleなど6つのモードで振る舞いを決めます。挿入後の値はEATTEDITで直し、BATTMANで定義を整え、ATTSYNCで全参照へ反映します。ただしATTSYNCは書式や拡張データを削除する副作用があるので、実行の順序に注意します。ブロックプロパティテーブルで属性を選択式にすると表記ゆれが消え、後段の抽出が正確になります。そしてDATAEXTRACTIONで建具表・機器表・部品リストを自動集計でき、再抽出で図面の更新にも追従できます。

まずは身近な建具ブロックに符号・幅・高さ・種別のタグを設計するところから始めてみてください。タグ設計をていねいに行うほど、抽出できる表の質が上がります。