AI で図面から拾い出しをする|積算の流れと、AI に任せる所・検算する所
- AI で積算をすると、どこまで自動になるの?
- 図面の拾い出しを、AI に任せてもいい?
- AI が出した数量を、どう確かめればいいか知りたい
積算(工事の費用を見積もる計算)では、図面から材料の数量を出す作業に、AI の道具が使えます。
しかし、AI が受け持つのは積算の一部です。AI が出した数量には読み違いも入るので、いつも正しいとは限りません。
この記事では、積算と拾い出しの意味、工事費の組み立てと数量の決まり、AI の拾い出しがすることと苦手な図面、検算のしかたを解説します。読むと、AI に任せる所と人が確かめる所の分かれ目が分かります。
拾い出しは、積算のうち、図面から材料などの数量を読み取る作業です。
積算と拾い出しとは

積算とは、工事などの費用を見積もって計算することです。計算して出した額も、積算と呼びます。
拾い出しは、積算の中で、図面や仕様書から工事に要る材料などの数量を読み取る作業です。「数量拾い」とも呼ばれます。
この記事では、国土交通省が公開している、国の建物の工事を積算するときの基準を例にします。民間の工事を、同じ決まりで積算するとは限りません。
国の工事の積算のマニュアルに載る流れの例では、設計図書の確認から始め、数量を出して書類(数量調書)にまとめます。そのあと、単価の資料と見積の資料を作ります。
拾い出しは、この流れの中で、単価の資料より前に数量を出す工程です。
工事費の組み立て

国の工事の基準では、拾い出しの数量に単価(1単位あたりの値段)を掛けて、直接工事費を出します。直接工事費は、建物を造るために直接要る費用です。
たとえばコンクリートなら、拾い出した体積(㎥)に、1㎥ あたりの単価を掛けます。単価は、施工の1単位あたりの材料費・労務費・機械器具費などをまとめた値段です。
工事費は、直接工事費に、共通費と消費税等相当額(消費税と地方消費税の分)を足して組み立てます。
共通費は、共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の3つです。共通仮設費は工事に共通の仮設の費用、現場管理費は工事現場を管理する費用です。
一般管理費等には、工事を請け負う会社を続けて運営するための費用と、利益などが入ります。
図の工事原価は、直接工事費・共通仮設費・現場管理費の合計です。工事原価に一般管理費等を足すと、工事価格になります。
共通費の額は、直接工事費などに基準の表で決まった率を掛けた額と、積み上げた額の合計です。共通費も直接工事費をもとに出すので、拾い出しの数量は工事費の全体に響きます。
数量・単価・共通費を決める基準は、それぞれ別です。単価は「公共建築工事標準単価積算基準」、共通費は「公共建築工事共通費積算基準」、数量は「公共建築数量積算基準」で決めます。
拾い出しの数量の決まり

国の工事の基準では、数量の数え方にも決まりがあります。原則として使う数量は、設計数量です。
設計数量は、設計図書に書かれた個数と設計寸法(図面に書かれた寸法と、そこから計算で得られる寸法など)から求めた長さ・面積・体積などの数量です。材料の無駄(ロス)は、数量ではなく単価の中で見込みます。
設計数量のほかに計画数量と所要数量があり、どちらも基準が決めた所だけで使います。計画数量は、設計図書をもとにした施工計画で求めた数量です。
所要数量は、決まった長さの材料を切ったときの無駄や、工事でやむを得ず出る損耗を含んだ数量です。たとえば小さな木造の建物の柱や梁は、4m などの決まった長さの材木から何本取れるかを計算して出します。
開口部の差し引き方にも決まりがあります。窓や出入口などの開口部の見付面積(正面から見た面積)が1か所 0.5㎡ 以下なら、その分をコンクリートの量から原則として差し引きません。
同じ図面でも、どの決まりで数えたかで数量が変わります。拾い出しは、決まりに沿って数える作業です。
AI積算で自動にできる拾い出し

AI 積算で自動にできるのは、図面から数量を出す拾い出しです。ただし、AI が数え方の決まりどおりに数量を出すとは限りません。
AI の道具は、PDF や画像の図面から壁・柱・建具・配管などを見つけ、その長さ・面積・個数を出します。
数量に掛ける単価や共通費を決める工程は、拾い出しには入りません。拾い出しで出るのは数量で、そこから先は別の基準で決めます。
AI の数量は、検算する前の下書きとして扱います。図面によっては、AI が数量を読み違えることもあるためです。
AIの拾い出しが苦手な図面

拾い出しの道具を含め、図面を読み取る AI には苦手な図面があります。解説の記事で共通して挙がる苦手な図面は、次の3つです。
- スキャンした紙図面
- 手書きの注記がある図面
- 記号や凡例がそろっていない図面
スキャンした紙図面
スキャンした紙図面は、AI の拾い出しが苦手な図面です。画質の低いスキャンでは、AI が読み取れる所が減ります。
スキャンした図面から AI が出した数量は、元の紙の図面に書かれた寸法と見比べます。
手書きの注記がある図面
手書きの注記がある図面も、AI の拾い出しが苦手な図面です。手で書いた文字は、AI が読み違えやすくなります。
手書きの注記がある所では、AI が出した数量を、人が図面の注記と照らして確かめます。
記号や凡例がそろっていない図面
記号や凡例がそろっていない図面も、AI の拾い出しが苦手な図面です。凡例と図面の記号が合っていなかったり、図面ごとに記号の描き方が違ったりすると、AI が何の記号かを見分けにくくなるためです。
こうした図面では、AI が数えた物の種類を、人が凡例と照らして確かめます。
AIで拾い出した数量を検算する

検算では、AI が出した数量が合っているかを、積算に使う前に人が確かめます。
検算の確かめ方は、次の3つです。
- 元の図面と照らし合わせる
- 数え方の決まりで確かめる
- 過去の工事の目安と比べる
元の図面と照らし合わせる
元の図面と照らし合わせるのは、AI が出した長さや個数を、図面の寸法や数と見比べる確かめ方です。AI の拾い出しが苦手な図面の所から先に見ましょう。
CAD のデータがある図面なら、CAD で長さや面積を測れます。たとえば無料の CAD の Jw_cad では、2点の間の長さや、点を結んだ範囲の面積を「測定」の機能で測れます。
ただし、図面と見比べて長さが合っていても、数え方の決まりから外れていれば数量は合いません。
数え方の決まりで確かめる
数え方の決まりで確かめるのは、数量の出し方そのものを見る確かめ方です。国の工事では、拾い忘れや計算違いを防ぐために、国土交通省の「営繕工事積算チェックマニュアル」のチェックリストを使います。
チェックリストの項目の1つは、決まりどおりに分けて数えたかです。たとえば、コンクリートを種類や設計強度ごとに分けて数量を出したかを見ます。
国の工事の基準で数えるときは、AI の数量が設計数量か、差し引かない決まりの小さな開口部の分を差し引いていないかも確かめます。
過去の工事の目安と比べる
過去の工事の目安と比べるのは、出した数量がありえる範囲に入っているかを見る確かめ方です。国の工事では、建築工事の数量を、過去の工事から出した数値と比べる表を使います。
その表に載る例は、「コンクリート総量は床面積×(0.8〜1.0)の範囲」です。コンクリートの総量が、床面積の数に 0.8〜1.0 を掛けた範囲から外れていれば、拾い忘れや計算違いを疑います。
AIの拾い出しを下書きにして、検算してから積算に使おう

AI が受け持つのは、積算のうち図面から数量を出す拾い出しです。単価と共通費は別の基準で決まります。
AI の数量は、検算するまで下書きとして扱います。
この記事で解説した検算の確かめ方は、次の3つです。
- 元の図面と照らし合わせる
- 数え方の決まりで確かめる
- 過去の工事の目安と比べる
AI の拾い出しの結果が出たら、AI が苦手な図面の所から、3つの確かめ方で検算してみてください。違っていた所は、元の図面と数え方の決まりに合わせて直します。
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