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3DCG · V-Ray

Triplanar・ランダマイズでテクスチャを配置する|UVなしマッピングと繰り返し回避

編集部 読了 約9分

外構の石畳やレンガ壁に石材のテクスチャ(表面の模様や色を表す画像)を貼ったら、同じ目地パターンが格子状に反復して、せっかくのパースが安っぽく見えてしまう。V-Rayでテクスチャを扱っていて、この「繰り返し模様」に悩んだ経験は多いのではないでしょうか。この記事では、UV展開(3Dモデルの表面を平面に開いてテクスチャを貼る下ごしらえ)をやり直さずに反復を消す、Triplanar・Texture Randomizer・Stochastic Tilingの3手法を解説します。

この記事で解説するのは、V-Rayに用意されたテクスチャ配置の機能そのものです。SketchUpやRhinoでV-Rayをどう入れて動かすかといった導入手順には触れません。ホスト別の始め方はVRayMtlの反射・屈折を設定するなどの入門記事にゆずり、ここでは配置の機能に絞ります。数値やパラメータ名はChaos公式ドキュメント(2026年7月現在)で確認したものを使っています。

テクスチャの繰り返しパターンが起きる理由

反復を消す方法に入る前に、なぜ模様が格子状に並んでしまうのかを押さえておきます。原因がわかると、3つの手法がそれぞれ何を解決しているのかが見えてくるからです。

UVタイリングとは何か

テクスチャは、幅と高さが決まった1枚の画像です。壁一面のような広い面にこの1枚を貼ると、画像1枚では面を埋めきれないため、同じ画像を縦横にタイル状に並べて敷き詰めます。このしくみをUVタイリング(テクスチャの繰り返し配置)と呼びます。

問題は、並べたタイルの境界で同じ模様がぴったり揃ってしまうことです。レンガなら目地の位置、石なら特徴的な染みや割れが等間隔で現れます。人の目はこうした規則性を敏感に見つけるため、「同じ画像の使い回し」だとすぐに気づかれてしまいます。だから広い面ほど、反復を崩す工夫が必要になります。

UV展開が難しいモデルで起きること

もうひとつの悩みが、UVが整っていないモデルです。SketchUpやRhinoといったCAD系ソフトから持ち込んだ形状は、面ごとのUV座標がばらばらだったり、そもそも設定されていなかったりします。

この状態でテクスチャを貼ると、面によって模様が伸びたり、方向がずれたり、スケールが合わなかったりします。きれいに貼るにはUV展開をやり直す必要がありますが、複雑な外構や地形では手間が大きく、実務では現実的でないことも多いです。そこで役立つのが、UV座標に頼らずにテクスチャを貼る方法になります。

TriplanarでテクスチャをUVなしで貼る

Triplanar(トライプレーナー)は、UV展開なしでテクスチャを貼れる機能です。UV座標を使わず、モデルを取り囲む3方向からテクスチャを投影する仕組みなので、UVが整っていないモデルでもそのまま貼れます。

Triplanarのしくみ

Triplanarは、X・Y・Zの3つの軸方向から、同じテクスチャをスライド映写のように投影します。ある面が真上を向いていれば上からの投影が、横を向いていれば横からの投影が使われる、という具合です。3方向から投影するため、どんな向きの面にもテクスチャが回り込みます。

投影の基準はワールド座標(シーン全体の座標)またはオブジェクト座標から選べます。UV座標を参照しないので、UV展開が未整備でも模様が伸びたりずれたりしません(Triplanar - V-Ray for Blender、2026年7月現在)。地形や岩、コンクリートの壁のように、UVを丁寧に整えるのが大変な対象で効果を発揮します。

Blendとサイズの調整

3方向から投影すると、面の向きが変わる境目(たとえば壁と床の角)で、どの投影を使うかの切り替わりが起きます。ここをなめらかにつなぐのがBlend(ブレンド)の設定です。Blendを小さくすると境目がくっきり分かれ、大きくすると2方向の投影が混ざってなじみます。角ばった継ぎ目が気になるときはBlendを上げて調整します。

もうひとつ大切なのがSize(サイズ)です。これはテクスチャの実寸スケールを決める値で、たとえばレンガ1個の幅が実際に何メートルに見えるかを合わせます。Sizeが合っていないと、レンガが巨大に見えたり、逆に細かすぎて模様がつぶれたりします。まずSizeで縮尺を合わせ、次にBlendで継ぎ目を整える、という順で調整すると迷いにくいです。

Triplanarが向く場面・向かない場面

Triplanarは万能ではありません。向き不向きを知っておくと、無駄な作業を減らせます。

向いているのは、地形・岩・コンクリート・打ちっぱなしの壁など、模様に決まった方向がない素材です。UVが未整備のCADモデルにもそのまま使えます。一方で向かないのは、フローリングの板の向きやタイルの目地方向のように、模様の並びをきっちり制御したい素材です。こうした規則的なパターンは、UVでの配置のほうが思いどおりに仕上がります。Triplanar自体にもrandom texture offsetやrandom rotationといった、投影位置や角度をランダムにずらす設定があり、これだけである程度の反復崩しはできます(TriPlanar - V-Ray for Rhino、2026年7月現在)。

Texture Randomizerで模様のばらつきを作る

繰り返しへのもうひとつの対処が、反復を「消す」のではなく「揺らす」考え方です。模様の位置や向きを面ごとにわずかにずらすと、同じテクスチャでも規則性が見えにくくなります。これを担うのがVRayUVWRandomizer(テクスチャの配置をランダム化する機能)です。

要素ごとに位置・回転・スケールをずらす

VRayUVWRandomizerは、要素・オブジェクト・レンダーIDといった単位ごとに、テクスチャのUVをばらばらにずらす機能です。U・V・Wそれぞれの方向について、offset(位置ずらし)・rotation(回転)・scale(拡大縮小)のランダム幅を指定できます(VRayUVWRandomizer - V-Ray for 3ds Max、2026年7月現在)。

たとえば石畳を敷き詰めたシーンで、石1個ごとに向きと位置をわずかにずらすと、同じ石テクスチャでも1個ずつ表情が変わります。全体を見たときの「コピペ感」が消え、自然な石畳に近づきます。offsetだけ、あるいはrotationだけを使うなど、素材に合わせて必要なずらしだけを効かせるのがコツです。

複数テクスチャの差し替えでバリエーションを出す

同じテクスチャをずらすだけでなく、面ごとに別のテクスチャを割り当てる手もあります。V-RayにはVRayMultiSubTex(複数のテクスチャを面ごとに切り替える機能)があり、木材なら色味の違う板を数枚用意して、面ごとにランダムに差し替えられます。

板の1枚1枚が別の木目になるので、フローリングやルーバー(細長い羽根板を並べた建具)のように同じ部材が並ぶ場所で効果が出ます。ずらしで足りないときは、テクスチャそのものを増やしてバリエーションを稼ぐ、と覚えておくとよいです。

Stochastic Tilingでタイルの継ぎ目を消す

最も反復が目立つのが、1枚のテクスチャを大きな面に敷き詰めたケースです。芝生・砂利・大判のコンクリート床などがこれにあたります。こうした大面積の反復に効くのがStochastic Tiling(ストキャスティック・タイリング)です。

タイル単位でランダム化するしくみ

Stochastic Tilingは、VRayUVWRandomizerのby tile(タイルごと)モードで実現します。敷き詰めたタイル1枚ごとに、向きや位置を自動でばらばらに変える仕組みです。格子状に揃っていた模様の規則性が崩れ、継ぎ目が見つけにくくなります(VRayUVWRandomizer - V-Ray for 3ds Max、2026年7月現在)。

手作業でタイルを1枚ずつ回すのに比べ、面全体を一度に処理できるのが利点です。芝生のように同じ模様が延々と続く素材ほど、効果がはっきり出ます。

Triplanar・Randomizerとの使い分け

3つの手法は競合するものではなく、素材と目的で使い分けます。下の表で得意分野を整理します。

手法UV展開向く素材反復回避の効き方
Triplanar不要地形・岩・コンクリ・UV未整備のCADモデル投影のずらしで軽めに崩す
Texture Randomizer必要石畳・木材など部材が並ぶ面要素ごとに位置・向きを揺らす
Stochastic Tiling必要芝生・砂利・大判の床タイル単位で規則性を強く崩す

UV展開が難しいならTriplanar、部材ごとに表情を変えたいならRandomizer、大面積の反復を強く消したいならStochastic Tiling、という選び方が実務では使いやすいです。1つのシーンで素材ごとに3手法を組み合わせても問題ありません。

3手法を編集部が使ってみました

ここは、3手法を建築パースの典型的な素材に当てはめたときの整理です。公式ドキュメントの仕様と、建築ビジュアライゼーションでよく語られる使い分けをもとにまとめています。

レンガ壁と石畳での使い分けの所感

編集部の所感として、素材ごとに向く手法ははっきり分かれます。外構の石畳のように同じ石が広く続く床は、Stochastic Tilingでタイル単位に崩すのが最も手数が少なく、格子感が消えます。打ちっぱなしの大面コンクリート壁は、UVを整えずに済むTriplanarが相性よく、角の継ぎ目もBlendでなじませられます。

一方、レンガ壁のように目地の方向をそろえたい素材は、Triplanarだけだと目地が乱れがちです。UVで目地方向を決めたうえで、Texture Randomizerで色味と位置をわずかに揺らすと、規則性を保ったまま反復感だけを抜けます。素材の「模様に方向があるか」を最初に見極めると、どの手法を選ぶかで迷いにくくなります。

活用シーンと次の一歩

最後に、素材別の選び方と、テクスチャ配置の次に取り組むと効果が大きい工程をまとめます。

素材別の選び方(外構・内装・地形)

外構では、石畳や砂利にStochastic Tiling、擁壁や土間コンクリートにTriplanarを合わせると反復が消えます。内装では、フローリングやルーバーにVRayMultiSubTexで木目のバリエーションを持たせ、塗り壁やモルタルにはTriplanarが向きます。地形や造成面は、UVを整えるのが難しいためTriplanarが第一候補になります。

いずれの場面でも、まず素材の模様に方向があるかを確認し、方向がなければTriplanar、方向を保ちたければUV+Randomizer、大面積の反復にはStochastic Tiling、と切り分けると判断が速くなります。

次の一歩|PBRテクスチャセットとの組み合わせ

テクスチャの配置が整ったら、次はそのテクスチャの中身、つまりカラー・粗さ・凹凸などをまとめたPBR(物理ベースレンダリング)テクスチャセットの読み込みに進むと質感が一段上がります。配置手法とPBRセットは組み合わせて使うもので、Triplanarで貼った面にPBRセットのカラーマップと粗さマップを流し込めば、UVなしでも本格的な質感になります。読み込みの手順はPBR/Metalnessワークフローで質感を作るで解説しています。

さらに表面の凹凸を実際に立ち上げたいときは、ディスプレイスメントで表面ディテールを出すでレンガや石の凹凸表現につなげられます。

まとめ

V-Rayのテクスチャ配置で繰り返しを消す手法は、大きく3つに整理できます。UV展開が要らないTriplanar、要素ごとに模様を揺らすTexture Randomizer、そしてタイルの反復を強く崩すStochastic Tilingです。素材の模様に方向があるかを見極め、方向がなければTriplanar、方向を保ちたければUV+Randomizer、大面積の反復にはStochastic Tilingを選ぶと迷いません。

3手法は排他ではなく、1つのシーンで素材ごとに組み合わせて使えます。配置が整ったらPBRテクスチャセットの読み込みに進むと、UVなしのまま質感を大きく引き上げられます。マテリアル全体の作り方はV-Rayマテリアル完全ガイドに入口をまとめています。