TwinmotionからUnreal Engineへ書き出す|ゲームエンジン品質への発展
Twinmotion(建築ビジュアライゼーション向けのリアルタイムレンダラー)でまとめたシーンは、そのままUnreal Engine(ゲームや映像を作るリアルタイム3D制作プラットフォーム)へ書き出せます。Twinmotion Unreal Engine 書き出しは、Twinmotionの手軽さを土台にしながら、Unrealの表現力と配布力へ発展させるための道です。どちらもEpic Games製で、TwinmotionはもともとUnreal Engineを基盤に作られているため、この移行はごく自然につながります。
この記事では、書き出しの操作(File > Export to Datasmith file)、StandardとOptimizedの選び方、Unreal Engine側での読み込み、そして「何が引き継がれ、何を作り直すか」までを解説します。内容は2026年7月10日時点のEpic Games公式ドキュメントに沿って確認しました。Twinmotionの導入や基本操作そのものは、Twinmotionとは?Unreal Engineベースの建築レンダラー徹底ガイドで解説しています。
なぜTwinmotionからUnreal Engineへ書き出すのか
Twinmotionだけで仕上がる仕事も多いのですが、Unreal Engineへ渡すと表現と配布の幅が一段広がります。まず「どんなアウトプットが欲しいか」を決めることが、移すかどうかの出発点になります。
Twinmotionで完結する仕事、Unrealへ渡す仕事
静止画やウォークスルー動画、パノラマ、オンライン共有、VR体験までは、多くの場合Twinmotionのまま完結します。定型のプレゼン素材なら、わざわざUnreal Engineへ移す必要はありません。これらの作り方はTwinmotionの動画・アニメ・共有・VRガイドにまとめています。
一方で、Unreal Engineの領域になる場面もあります。相手のPCで自由に歩ける実行ファイルを配りたいとき、ライティングをさらに作り込みたいとき、大がかりなインタラクション(操作に応じて空間が反応するしくみ)を仕込みたいときです。たとえば施主へ「完成後のマンションを、好きなルートで歩き回れるアプリ」を渡す案件では、Twinmotion単体では届かない出力が求められます。
つまり考える順番は、機能名から入るのではなく「最終的に何を手渡すか」から逆算するのが素直です。渡すものが決まれば、Twinmotionで足りるのか、Unrealまで進むのかが自然に見えてきます。
Unreal Engineで広がる表現
Unreal Engineへ移すと、Lumen・Path Tracer・Naniteといった品質技術が使えるようになります。これがUEへ進む最大の理由です。
Lumen(Unreal Engine 5のリアルタイム大域照明。光の回り込みをその場で計算するしくみ)は、ライトマップのベイク(あらかじめ光を焼き込む前処理)待ちがいりません。直接光や形状を変えると、間接光がその場で追従します。設計変更が多い提案段階では、この即応性が強みになります。Path Tracer(光線を追跡して写真のように仕上げる高品質モード)は最終品質の決め画に向き、Nanite(高密度なメッシュをそのまま扱える仮想化ジオメトリ)は重いモデルを軽快に扱えます。動く提案にはLumen、最終カットにはPath Tracer、という使い分けが目安です。
なお、近年のTwinmotionに加わったVSM(Virtual Shadow Maps=仮想シャドウマップ)により、リアルタイム表示とPath Tracerの間で影の見えが揃いやすくなっています(出典: Twinmotion公式News、確認日2026-07-10)。こうした品質技術の細かな設定は本格運用の話になるため、Unreal Engineとは?建築プレゼンを変えるリアルタイムプラットフォームで深掘りしています。
インタラクティブ配布とVRへの展開
Unreal Engineに移して初めて届く出力があります。スタンドアロンの実行ファイル(単体で起動できるアプリ)、Pixel Streaming(ブラウザ経由で高品質画面を配信するしくみ)、作り込んだVR体験などです。相手が自分の意思で空間を歩ける体験を、そのまま手渡せるようになります。
TwinmotionはUnreal Engineを基盤にしたレンダラーなので、UEへ進むのは別ソフトへの乗り換えではありません。同じ基盤の上位版へ進む感覚に近いといえます。
ただしUnreal Engineは本来ゲーム開発のプラットフォームで、用語も操作も建築向けに整っているわけではありません。学習の負担は確実に上がります。ここは正直な前提として押さえておき、本格運用の手順はUnreal Engineとは?建築プレゼンを変えるリアルタイムプラットフォームへ送ります。
書き出しの前に確認すること
書き出しそのものは数クリックですが、Unreal Engine側の下ごしらえを先に済ませておくと詰まりません。用意すべきは、バージョンとプラグインの2点。
| 確認する対象 | 満たすべき条件 |
|---|---|
| Unreal Engineのバージョン | 5.4以降(読み込みの下限。5.5・5.6でも可) |
| Datasmith Importerプラグイン | UEプロジェクトで有効化しておく |
| 旧プラグイン方式 | 使わない(現行はTwinmotion内蔵の書き出しに一本化) |
Unreal Engine 5.4以降を用意する
Twinmotionから書き出した.udatasmithファイルを読み込むには、Unreal Engine 5.4以降が必要です(出典: Twinmotion to Unreal Engine Workflow、確認日2026-07-10)。5.4はあくまで読み込みの下限で、5.5や5.6でも問題なく読み込めます。最新のTwinmotion 2026.1(2026-04-15リリース)でも、書き出しに使うDatasmith Exporterは新しいUnreal Engineに合わせて更新されています(確認日2026-07-10/出典: Twinmotion Plugins)。
バージョンが合っていないと、書き出したファイルをそもそも開けません。作業に入る前に、手元のUnreal Engineが5.4以降かどうかを先に確かめておくと安心です。
古い解説記事には「Datasmith Twinmotion Content for Unreal Engine」という別プラグインを入れる手順が載っていることがあります。この旧方式はTwinmotion 2024.1以降では不要になり、現在はTwinmotion内蔵のExport to Datasmithに一本化されています。旧プラグインはUE Marketplace上でも公式に提供終了(Sunset)扱いとなっているため(確認日2026-07-10)、古い手順を真似ても現行では動きません。
Datasmith Importerプラグインを有効化する
Unreal Engine側でDatasmith Importer(DatasmithファイルをUEに取り込むためのプラグイン)を有効化しておかないと、.udatasmithファイルを読み込めません(出典: Workflow公式Doc、確認日2026-07-10)。読み込みを担う土台のプラグインなので、ここが無効のままだとインポートのメニュー自体が出てきません。
有効化の流れは、プラグイン一覧でDatasmith Importerにチェックを入れ、エディタを再起動する、という一般的な手順です。書き出しに取りかかる前にこの準備を済ませておくと、いざインポートという段になって手が止まりません。
TwinmotionからDatasmith形式で書き出す
書き出しはTwinmotionのメニューから行い、File > Export to Datasmith fileで.udatasmithと素材一式が生成されます。ここで選ぶモードが、あとの作業のしやすさを左右します。
| 観点 | Standard | Optimized |
|---|---|---|
| アセットの扱い | 個々のまま保つ | Static Mesh/Materialのアセット数を減らす |
| UEでの実行の軽さ | 標準 | 軽くなりやすい |
| 書き出し時間 | 短め | 長くなる |
| UEでの編集 | 手を入れやすい | 予期しない影響が出ることがある |
File > Export to Datasmith file の操作
TwinmotionのメニューでFile > Export to Datasmith fileを選ぶと、.udatasmithファイルが生成されます(出典: Workflow公式Doc、確認日2026-07-10)。このとき、シーンで使っているテクスチャ(模様や質感の画像)や.udsmesh(メッシュの形状データ)などの素材もまとめて書き出されます。単一ファイルではなく、専用フォルダに一式が入る形で出てくると考えておくとわかりやすいです。片方だけを移動させると読み込みで素材が欠けるため、フォルダごと保管してください。
書き出しの操作中に、StandardとOptimizedのどちらかを選ぶ場面が出てきます。ここが後工程を決めるポイントになります。
StandardとOptimizedを使い分ける
Optimizedは、Static Mesh AssetとMaterial Assetの数を減らして、Unreal Engineプロジェクト内での動作を軽くするモードです(出典: Workflow公式Doc、確認日2026-07-10)。同じ素材を共有アセットにまとめるため、大量のオブジェクトが並ぶ重いシーンでは効果が出ます。
ただしOptimizedは書き出し時間が長くなり、UE側で個々のオブジェクトに手を入れるときに、共有化が原因で思わぬ範囲まで見た目が変わることがあります。たとえば1枚の壁マテリアルだけ色を変えたつもりが、同じアセットを共有する別の壁まで一緒に変わってしまう、といった具合です。
そのため、Unreal Engineで細かく作り込む前提ならStandard、重いシーンをできるだけ軽いまま回したいならOptimized、という選び方が目安になります。迷ったときは、あとで手を入れやすいStandardから始めると無難です。
Unreal Engineに読み込む
Unreal Engine側では、Createメニュー > Datasmith > File Importで.udatasmithを取り込みます。読み込むと、Content内にTwinmotion由来のアセット群が展開されます。
インポート手順とContentのTwinmotionフォルダ
Unreal EngineのCreateメニューからDatasmith > File Importを選び、書き出しておいた.udatasmithを指定します(出典: Workflow公式Doc、確認日2026-07-10)。読み込むと、3DモデルはStatic Mesh Asset(動かない3Dメッシュ)へ、マテリアルはMaterial Assetへ変換され、シーンに配置されます。
取り込まれたアセットは、プロジェクトのContent内に専用のTwinmotionフォルダとして展開されます。どのデータがTwinmotion由来なのかがフォルダ単位でまとまるため、あとから特定の素材を差し替えたいときも探しやすくなります。
モデルを直したら再インポートで反映する
Twinmotion側でモデルを直したあとは、Datasmithの再インポートでUnreal Engineへ手直しを取り込めます。「一度渡したら終わり」ではなく、行き来しながら詰めていける前提で作業を組めます。
これができるのは、DatasmithがメタデータとしてTwinmotionのGUID(各オブジェクト固有の識別番号)をUE側のActorのTagへ引き継ぐためです(出典: Overview of the Twinmotion to UE Workflow、確認日2026-07-10)。識別番号でひも付くので、再取り込みのときに「どのオブジェクトがどれに対応するか」の突き合わせがしやすくなります。たとえば施主打ち合わせのあとに窓の位置をTwinmotionで調整しても、UE側で作り込んだライティングを大きく壊さずに反映できます。
何が引き継がれ、何が引き継がれないか
静的な見た目(メッシュ・マテリアル・ライト・カメラ・植栽)はよく引き継がれますが、動き(アニメーション)と一部の効果は引き継がれません。地形は作り直しになります。ここを先に知っておくと、移したあとで慌てずにすみます。
| 区分 | 主な要素 | UE側の扱い |
|---|---|---|
| 引き継がれる | メッシュ/マテリアル/ライト/カメラ/植栽/Megascans/デカール/メタデータ | Static Mesh・Cine Camera Actor等へ変換して配置 |
| 引き継がれない | アニメの人・車・建機/ビデオ・両面マテリアル/パーティクル/サウンド/各種パス | UEで作り直す |
| 手直しが要る | 地形(ランドスケープ)/開始地面の高さ/UV回転/エミッシブ/ライトマップUV | UEのツールで補正・再作成 |
引き継がれるもの
書き出しで持っていけるのは、シーンの静的な土台です。メッシュはStatic Mesh Assetへ、マテリアルはCar paint・Emissive・Fabric・Foliage・Glass・Standard・Subsurface・Waterの各タイプへ変換されます。Adobe Substanceは一部のみの対応で、opacityマップ(透明度を指定する画像)に制限が残ります。
ライトはOmni・Spot・Neon・Area・IES 01〜30(IESは照明メーカーが公開する実測の配光データ)が対象。位置・強度・色・形状・IESプロファイルもそのまま入ります。カメラはMediaドックの画像がCine Camera Actor(映画的なカメラを再現するUEのカメラ)へと変換され、位置や焦点距離も保たれる仕組みです。植栽はPaint/Scatterで配置したものがHierarchical Static Mesh(階層化して大量配置を軽く扱うメッシュ)へ移ります。Quixel Megascans(高精細な3Dアセット群)やデカール(面に貼るシール状の装飾)、メタデータもまとめて引き継がれます(出典: Overview公式Doc、確認日2026-07-10)。
つまり住宅の外観や内観の「見た目そのもの」は、おおむねそのまま渡せると考えて差し支えないでしょう。
引き継がれないもの
引き継げないのは、主に「動き」です。歩く人や走る車、動く建設機械は、Datasmithがスケルタルメッシュ(骨組みで動くメッシュ)に対応していないため移りません。Animatorで付けた動きも、静止した状態で入るだけで動きは付きません(出典: Overview公式Doc、確認日2026-07-10)。
このほか、ビデオマテリアル・両面マテリアル・パーティクル・サウンド・ボート・自転車のパス・キャラクターのパス付属物なども対象外です。にぎわいの演出をTwinmotionで付けていた場合、それらはUnreal Engine側で組み直す前提になります。動く要素の多いシーンほど、移したあとの作業量が増えると見積もっておくと安全です。
読み込み後に手直しが必要なところ
引き継ぎはできても、そのままでは正しく表示されない要素があります。代表がランドスケープ(地形)です。地形はStatic Meshとして入るものの、heightmap(高低差データ)とマテリアルが正しく適用されず、Unreal EngineのLandscape Toolで作り直すことになります。開始地面の高さがずれて読み込まれる点も、あわせて補正が必要です(出典: Overview公式Doc、確認日2026-07-10)。
細かい部分では、次のような既知の制限も報告されています。
- マテリアルのUV(テクスチャを貼る位置を決める座標)回転が正しく変換されないことがある
- Twinmotionにはライトマップ用のUVがないため、UE側で手動作成が必要になる
- 露出やレンズの違いで、エミッシブ(自己発光の設定)の明るさが変わって見える
- デカールのスケールが保持されない場合がある
たとえば敷地に傾斜のある戸建て案件では、地形の作り直しが最初のまとまった作業になりがちなので、その工数を初めから見込んでおくと計画が崩れません。
書き出しワークフローについての編集部の見解
公式ドキュメントと一般的な建築ビジュアライゼーションの進め方を読み解くと、「Twinmotionで作り込んでからUnreal Engineへ渡す」順序が現実的です。移したあとに大きく巻き戻さないための考え方を、調査ベースで整理します。
編集部では、素材配置・構図・ライティングの大枠はTwinmotionで固め、Unreal Engineでは品質の追い込みとインタラクション付与に集中する順序をすすめます。Twinmotionは操作が建築向けにまとまっていて大枠を組みやすく、Unrealは仕上げと配布に強い、という役割の違いがあるためです。では、大枠が固まる前にUEへ移すとどうなるでしょうか。Twinmotion側の修正が発生するたびに再インポートと再調整を繰り返すことになり、手戻りがふくらみます。だからこそ、渡す前に「Twinmotion側で決めきれるところ」を固めておくことが、後半の作業量を大きく左右します。
活用シーンと次の一歩
Unreal Engineへ移す価値が最も出るのは、施主提案・コンペ・VR体験の3場面です。いずれも、静止画だけの提案では届かない体験を相手に手渡せる場面といえます。
こんな案件でUnrealへ進む価値がある
Unrealへ進む価値が出るのは、まず施主向けに「自由に歩ける実行ファイル」を配りたいときです。完成前のマンションや戸建てを、相手が好きなルートで歩き回れるアプリとして渡せると、静止画だけの提案とは伝わり方が変わります。コンペで最高品質の静止画・動画を出したいとき、あるいは没入感のあるVR体験を用意したいときも、UEまで進む価値が出ます。
逆に、定型の静止画・ウォークスルー動画・オンライン共有で要件が満たせるなら、Twinmotionのまま仕上げるのが早くて確実です。UEへ移す前に、Twinmotion単体で完結するVRという選択肢もあります。まずそちらを試したい場合はTwinmotionのVRウォークスルー|Meta Questで空間を体験するを参照してください。
次の一歩
Unreal Engineへ書き出したあとの本格運用は、この記事の範囲を超えます。Lumenの設定やPath Tracerでの仕上げ、Naniteの扱い、実行ファイル化までを続けて学ぶなら、Unreal Engineとは?建築プレゼンを変えるリアルタイムプラットフォームへ進むのが近道です。
Twinmotion側の動画・共有・VRをまだ固めきれていない場合は、Twinmotionの動画・アニメ・共有・VRガイドで全体像を押さえてから、必要に応じてUEへ発展させる流れがおすすめです。
まとめ
TwinmotionからUnreal Engineへの書き出しは、手軽さを土台にゲームエンジンの表現力と配布力へ発展させる導線です。要点は4つあります。書き出しはFile > Export to Datasmith fileで行い、素材一式が.udatasmithとして出力されます。読み込みにはUnreal Engine 5.4以降とDatasmith Importerプラグインが必要です。メッシュ・マテリアル・ライト・カメラ・植栽といった静的要素は引き継がれますが、動きと地形は作り直しになります。そして移した先では、Lumen・Path Tracer・インタラクティブ配布へと表現を広げられます。
大切なのは、機能名から入らず「まず欲しいアウトプットを決める」ことです。定型の静止画や動画で足りるならTwinmotionのまま仕上げ、実行ファイル配布やVR、最高品質の作り込みが必要なときにUnreal Engineへ進む、という順序で選べば迷いません。