
バリアフリー法とインテリア|使いやすい建物の基準と対象
- バリアフリー法って、どんな建物に関係するの?
- どんな建物で、バリアフリーの基準が義務になるの?
- バリアフリー法の基準のうち、内装にかかわる所を知りたい
店舗や施設の内装にも、バリアフリー法の基準がかかることがあります。しかし、どの建物で基準が義務になり、内装のどこにかかわるのかは、法律の名前だけでは分かりません。
この記事では、バリアフリー法の対象の建物と、内装とサイン(標識と案内板)にかかわる基準を解説します。担当する建物が義務か努力義務かと、内装で気をつける基準が分かります。
バリアフリー法とは

バリアフリー法は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の略です。高齢者や障害のある人が建物を使いやすくするための基準と、その対象の建物を決めています。
施行は2006年12月20日です。それまでの建物向けのハートビル法と、交通機関向けの交通バリアフリー法を1つにまとめてできました。
対象の建物と義務

バリアフリー法は、多くの人が使う建物を特定建築物とし、そのうち特に配慮が要る建物を特別特定建築物としています。義務になるのは、特別特定建築物のうち一定の床面積以上の建物です。
対象と義務を表にすると、次のようになります。努力義務とは、基準に合わせるよう努める決まりを指します。
| 建物 | 例 | 基準への適合 |
|---|---|---|
| 特別特定建築物で床面積2,000㎡以上 | 病院・百貨店・ホテル・飲食店 | 義務 |
| 特別特定建築物で床面積2,000㎡未満 | 同上 | 努力義務(条例で義務になることがある) |
| 特別特定建築物ではない特定建築物 | 事務所・共同住宅 | 努力義務 |
押さえることは、次の3つです。
- 特定建築物は多くの人が使う建物
- 特別特定建築物は特定建築物の一部
- 条例で対象を広げられる
特定建築物は多くの人が使う建物
特定建築物は、多くの人が使う建物です。学校・事務所・共同住宅・老人ホームなどが入ります。
特別特定建築物に当たらない特定建築物は、基準に合わせる努力をする努力義務の対象です。
特別特定建築物は特定建築物の一部
特別特定建築物は、特定建築物のうち、不特定多数の人か、主に高齢者・障害者が使う建物です。病院・百貨店・ホテル・飲食店・公立小中学校などが入ります。
特別特定建築物で床面積2,000㎡以上の建物は、新築・増築・改築・用途の変更のときに、基準への適合が義務になります。公衆便所は50㎡以上で義務です。
条例で対象を広げられる
地方公共団体は、条例で、義務の対象の建物を足したり、2,000㎡の規模を下げたり、基準を足したりできます。そのため、同じ用途と規模でも、地域によって義務になることがあります。
建築物移動等円滑化基準の数値

義務や努力義務で合わせる基準の名前は、建築物移動等円滑化基準です。建築物バリアフリー基準とも言われます。
基準のうち、高齢者や障害のある人が移動する経路(移動等円滑化経路)の主な数値は、次の表のとおりです。
| 部分 | 基準の数値 |
|---|---|
| 出入口の幅 | 80cm以上 |
| 廊下などの幅 | 120cm以上 |
| 傾斜路の勾配 | 1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下) |
| エレベーターのかごの奥行き | 135cm以上 |
内装とサインに効く基準

基準には、通路の幅のほかに、床の仕上げや表示にかかわるものもあります。内装とサインに効く基準は、次の3つです。
- 床は滑りにくく仕上げる
- 階段の段は色の差で見分けられるようにする
- 標識と案内板を設ける
床は滑りにくく仕上げる
廊下などの床の表面は、粗面にするか、滑りにくい材料で仕上げます。床材を選ぶときの条件の1つです。
階段の段は色の差で見分けられるようにする
階段は、踏面の端と周りの部分との色の明るさ・色合い・鮮やかさのどれかの差を大きくして、段を見分けやすくします。仕上げの色の選び方にかかわる基準です。
標識と案内板を設ける
基準に合わせたエレベーター・便所・駐車施設の近くには、その設備があることを示す標識を設けます。それらの設備の配置を示す案内板なども、設けるものの1つです。
近年の改正と建築設計標準

バリアフリー法の基準は、改正で対象や中身が広がっています。近年の主な改正は、次の2つです。
- 2021年4月1日から、公立小中学校などが特別特定建築物に加わった
- 2025年6月1日から、車椅子使用者用の便房を原則として各階に設けることになった(2024年6月公布)
国土交通省は、法の基準の上に、標準的な整備の内容を示す「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を出しています。これは法令ではない設計のガイドラインで、最新は2025年5月の版です。
建築設計標準は、什器・家具・サイン・床のパターンにも触れています。
担当する建物が義務か努力義務かを確かめよう

バリアフリー法は、高齢者や障害のある人が建物を使いやすくするための基準と、その対象の建物を決めた法律です。この記事で解説したのは、次の4つです。
- 対象の建物と義務
- 建築物移動等円滑化基準の数値
- 内装とサインに効く基準
- 近年の改正と建築設計標準
店舗や施設の内装を担当するときは、建物の用途と床面積、地域の条例を先に確かめてみてください。
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