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AutoCADの寸法記入完全ガイド|寸法スタイルと各種寸法・並列/直列・引出線

編集部 読了 約14分

AutoCADの寸法記入完全ガイド|寸法スタイルと各種寸法・並列/直列・引出線

AutoCADの寸法記入は、図面を「あとで読む人」に正しい寸法を伝えるための作業です。数値を電卓ではじいて手で打ち込むのではなく、図形から距離や角度を自動で測らせる注釈(図面に添える文字・寸法・記号)として扱うのが基本になります。

この記事では、寸法スタイル(DIMSTYLE)で見た目を一括管理するやり方と、長さ・半径・角度・弧長といった各種寸法の使い分けをまず押さえます。そのうえで、並列・直列で寸法を連ねる手順、引いた後の寸法編集、マルチ引出線(MLEADER)による注記までを、建築図面の目線でまとめました。

コマンド名や動作は、すべてAutodesk公式ヘルプ(2026年7月時点)で確認しています。

寸法記入は「あとで測る人」への約束事

寸法は、図形の実寸から数値を自動で測って表示する注釈。手で打ち込む文字とは、そもそも仕組みが違います。だからこそ、正確に描く→スタイルで見た目を決める→記入する、という順番を踏むと、あとのやり直しが減ります。

寸法は図形に連動する「測定結果」

寸法オブジェクトは、対象の点を指定すると、その距離や角度を測って数値で表示します。だから、あとから図形を動かせば寸法値もいっしょに追従する仕組みです。ここが、手打ちの文字と決定的に違うところ。

この連動を「関連付け(associative)」と呼びます。挙動を決めるのはシステム変数(AutoCADの動作を制御する設定値)DIMASSOCで、既定の2なら図形を編集すると寸法値・位置・向きが自動で更新されます。

つまり、寸法を正しく出したいなら、まず図形そのものを正確に描くのが前提です。座標入力やオブジェクトスナップ(図形の端点・交点などに正確に吸着させる補助機能)で、狙った点をしっかり拾っておきましょう。

作業の順番=スタイルを決めてから記入する

寸法作業は、いきなり引きはじめず、見た目のルールを先に決めると効率が上がります。おすすめの流れは、(1)寸法スタイル(DIMSTYLE)で線・矢印・文字・単位を決める、(2)各種寸法コマンドで記入する、(3)必要なら編集で整える、の3段階。

先にスタイルをそろえておくと、図面全体で矢印の形や文字の大きさがまとまります。あとから「やっぱり矢印を塗りつぶしに変えたい」となっても、スタイルを直すだけで同じスタイルの寸法が一括で切り替わるため、1本ずつ直す手間が消えます。

この記事で扱う範囲

ここで取り上げるのは、寸法スタイル、長さ・半径・角度などの各種寸法、並列・直列の連続寸法、寸法編集、そしてマルチ引出線の5つです。

寸法の文字が図面上で大きすぎたり小さすぎたりする「見た目サイズ=尺度」の話は、注釈尺度で異尺度の文字・寸法を管理するで解説しています。この記事では尺度に軽く触れるだけにして、寸法そのものの記入と編集に集中します。

寸法スタイル(DIMSTYLE)で見た目を一括管理する

寸法スタイルは、線・矢印・文字・単位・精度といった寸法の見た目を、1つの設定としてまとめたもの。スタイルを直せば、そのスタイルで引いた寸法がすべて一括で更新されるため、図面ごとの表現をそろえるのが楽になります。

タブ決めること
Lines寸法線・寸法補助線のオフセット・色・線の太さ
Symbols and Arrows矢印の形・中心マーク・弧長記号・ジョグ半径の形式
Text寸法文字の書式・配置(参照する文字スタイルを指定)
Fit狭い箇所での文字・矢印の逃がし方と全体尺度
Primary Units主単位の形式・精度・接頭辞/接尾辞
Alternate Units併記単位(mmとinchなど)の表示・形式
Tolerances公差(許容される寸法の上下限)の表示と形式

ソース: New/Modify Dimension Style(Autodesk公式、2026年7月時点)

寸法スタイル管理を開く

寸法スタイルの設定は、コマンドラインでDIMSTYLEと入力するか、リボンの「注釈」タブ→寸法パネルのスタイル欄から開きます。表示された「寸法スタイル管理(Dimension Style Manager)」で、新規作成や修正をおこないましょう。

ここで既存スタイルをModify(修正)すると、そのスタイルで引かれた寸法がすべて更新されます。たとえば住宅平面図で矢印を「黒丸」から「建築でよく使う斜線(建築ティック)」に変えたいとき。スタイルを1回直すだけで、図面中の全寸法がまとめて切り替わります。

7つのタブで何を決めるか

寸法スタイルのダイアログは7つのタブに分かれており、上の早見表のとおり役割がはっきり分かれています。よく触るのはLines・Symbols and Arrows・Text・Primary Unitsの4つでしょう。

たとえば建築図面をミリメートル単位で描くなら、Primary Unitsで小数点以下の桁数(精度)を0にして、単位を整数表示にします。Textタブで選べるのは、寸法文字が参照する文字スタイル。フォントや文字高さそのものの整え方は文字スタイルと文字記入(DTEXT/MTEXT)で解説しています。

文字サイズは「印刷される大きさ」で考える

寸法文字や矢印の大きさは、Fitタブの全体尺度(システム変数DIMSCALE)や注釈尺度で、印刷したときの実寸に合わせて決まります。数値そのものではなく「紙の上で何ミリに見えるか」で考えるのがコツ。

「文字が大きすぎる/小さすぎる」というつまずきは、ほとんどが尺度設定の問題です。原因の切り分けと運用の詳しい手順は注釈尺度で異尺度の文字・寸法を管理するで解説しています。ここでは「見た目サイズは尺度で決まる」という一点だけ押さえておけば十分でしょう。

各種寸法を使い分ける(長さ・半径・角度・弧長)

寸法コマンドは、測る対象の形に合わせて選ぶのが基本です。建築図面ではDIMLINEAR(開口幅・通り芯間)とDIMALIGNED(斜めの辺の実長)が主力。円まわりや角度は、それぞれ専用コマンドを使い分けます。

コマンド測るもの建築での使い所
DIMLINEAR水平・垂直の距離開口幅、通り芯間、階高
DIMALIGNED対象に平行な実長斜めの壁、勾配屋根の辺
DIMRADIUS半径円形バルコニー、R壁
DIMDIAMETER直径円柱、マンホール
DIMJOGGED遠い中心の半径大きな円弧の外壁
DIMANGULAR2辺のなす角屋根勾配、隅切り
DIMARC弧の長さ曲面の展開長
DIMORDINATE基点からのX/Y距離基準点管理、座標寸法

ソース: Commands for Basic Dimensioning(Autodesk公式、2026年7月時点)

長さ寸法(DIMLINEAR / DIMALIGNED)

長さを測る基本は、この2つのコマンドの使い分けです。DIMLINEARは水平・垂直の距離を測り、開口幅や通り芯の間隔など、図面の主力になる寸法を引くコマンド。

一方のDIMALIGNEDが測るのは、対象に平行な実際の長さです。斜めの壁や勾配屋根の辺のように、水平でも垂直でもない辺の実長を出したいときに使います。どちらも2点を指定して寸法線の位置を決めるだけで、数値が自動で表示されます。

半径・直径・ジョグ(DIMRADIUS / DIMDIAMETER / DIMJOGGED)

円や弧の寸法は、半径か直径かで使うコマンドが分かれます。DIMRADIUSは半径、DIMDIAMETERは直径を、対象の円・弧に付けるコマンドです。

問題になりやすいのは、円の中心が図面の外にあるような大きな円弧。そのままでは半径の寸法線が図面をはみ出してしまいます。そんなときはDIMJOGGEDを使うと、寸法線の途中に折れ線(ジョグ)を入れて、中心が遠い円弧の半径をコンパクトに示せます。

角度・弧長・座標(DIMANGULAR / DIMARC / DIMORDINATE)

長さや半径以外の測り方も、専用コマンドでそろっています。DIMANGULARは2辺のなす角度を、DIMARCは弧そのものの長さを測ります。屋根勾配の角度や、曲面の展開長を出すときに便利でしょう。

DIMORDINATEは、基点(原点)からのX方向・Y方向の距離を示す座標寸法です。基準点からの位置管理に使います。また、選択したオブジェクトからまとめて寸法を作るQDIMを使えば、複数の寸法を一括で作成でき、このあと扱う連続寸法とあわせて時短にもつながります。

並列寸法・直列寸法で寸法を連ねる

寸法を連ねるやり方には、隣へつないでいく直列と、共通の起点から積み上げる並列の2種類があります。建築図面では、開口や柱割の連続寸法にこの2つを使い分けます。

直列寸法(DIMCONTINUE)

直列寸法は、前の寸法の終点を次の寸法の起点として、一直線につないでいく引き方。コマンドはDIMCONTINUEで、直前または選択した寸法の寸法補助線から続けて作成します。

たとえば外壁面に並ぶ窓を、左から右へ「窓・壁・窓・壁」と隣どうしの寸法で刻んでいく場面に向いています。1つ引くごとに次の点を指定するだけで、寸法線の高さがそろった連続寸法ができあがります。

並列寸法(DIMBASELINE)と間隔

並列寸法は、共通の起点(ベースライン)からそれぞれの点までの距離を、積み上げるように示す引き方。コマンドはDIMBASELINEで、基準からの累積寸法を出したいときに使います。

たとえば通り芯の左端を起点に、各柱までの累積距離を段違いに並べる場面がよくあります。寸法線どうしの間隔はシステム変数DIMDLIで制御できるので、線が詰まりすぎず読みやすい間隔に整えられます。

DIMコマンドで一気に片づける

コマンドを何度も切り替えるのがめんどうなときは、スマート寸法のDIMコマンドが便利です。対象にカーソルを合わせると、弧なら半径、円なら直径、線分なら直線寸法、と適切な寸法タイプを自動でプレビューしてくれます。

さらにオプションでBaseline(並列)やContinue(直列)に切り替えれば、コマンドを抜けずに連続寸法まで引けます。Layerオプションを使うと、新しい寸法を指定した画層(システム変数DIMLAYERで管理)へ自動配置できるので、寸法を専用レイヤーにまとめる運用が楽になります。なお、このDIMコマンドが使えるのはAutoCAD 2016以降です。

記入した寸法を整える・直す(寸法編集)

引いた後の寸法は、位置・数値・傾き・間隔・交差を専用コマンドで調整できます。図面が密になるほど、これらの編集が仕上がりの見た目を左右します。

文字と寸法線を動かす(DIMTEDIT / グリップ)

寸法値や寸法線が他の要素と重なったときは、位置をずらして読みやすくします。DIMTEDITは、寸法文字や寸法線を移動・回転して、重なりを解消するコマンド。

もっと手軽に直したいなら、寸法を選択して現れるグリップ(青い四角のつまみ)をドラッグする方法もあります。文字の位置や寸法線の位置を、マウスで直接動かして微調整できます。

傾き・数値の編集(DIMEDIT)

DIMEDITは、寸法文字の回転や書き換え・復元に加えて、寸法補助線の傾き角(oblique)を変える編集ができるコマンドです。まっすぐ立った補助線を、斜めに寝かせる操作をイメージするとわかりやすいでしょう。

狭いところで補助線どうしがぶつかるとき、補助線を斜めに逃がして重なりを避ける、といった使い方をします。等角図(斜め方向から見た図)に寸法を入れるときにも役立ちます。

間隔をそろえる・交差を切る(DIMSPACE / DIMBREAK)

複数の寸法を並べたとき、線の間隔がバラバラだと図面が乱雑に見えます。DIMSPACEは、既存の直線・角度寸法どうしの間隔を、指定した値で均等にそろえるコマンド。値を0にすると寸法線の位置合わせもできます。

もう1つ、寸法線や補助線が他の線と交差してごちゃつく場面ではDIMBREAKが効きます。交差する箇所に切れ目を入れて、線が重ならないように見せるコマンドです。交差の位置が変われば切れ目も追従し、交差しなくなると自動で切れ目が閉じます。

寸法値の上書きと関連付けの直し

「数値を直したい」「動かしても更新されない」というつまずきは、寸法の仕組みを知ると解けます。まず前提として、寸法値は測定結果なので、丸ごと手打ちで置き換えると図形の実寸と食い違ってしまいます。これは避けたい操作です。

数値に注記を足したいときは、測定値プレースホルダの <> の出番です。これは「測定値がここに入る」という記号で、<> を残したまま接頭辞や接尾辞を付ければ、連動を保ったまま文字を足せます。たとえば TYP <> と書けば、実測値の前に「TYP(typical=代表寸法の意味)」を添えられます。

図形を動かしても寸法が更新されないのは、関連付けが切れた状態。この場合はDIMREASSOCIATEで、寸法を図形の点へ付け直せば連動が戻ります。既定のDIMASSOC=2で作った寸法は関連付け寸法なので、通常は自動で追従します。逆に、意図して切り離したいときはDIMDISASSOCIATEを使いましょう。

マルチ引出線(MLEADER)で注記を引き出す

マルチ引出線は、「◯◯参照」「仕上げ表記」といった注記を、矢印付きの引出線で図面上の対象から引き出す機能です。矢印と文字をひとまとまりのオブジェクトとして管理でき、スタイルで見た目を統一できます。

マルチ引出線の構成

1本のマルチ引出線は、4つの部品でできています。対象を指す矢印(arrowhead)、そこから伸びる引出線(leader line)、文字を受ける水平な線(ランディング)、そして内容(複数行文字MTEXTまたはブロック)の4点。

作成はMLEADERコマンドでおこない、矢印を置く位置→注記を置く位置の順に指定します。たとえば天井伏図で「点検口 450角」と、特定の位置を指しながら注記する場面で使います。

マルチ引出線スタイル(MLEADERSTYLE)

引出線の見た目も、寸法と同じようにスタイルで統一できます。MLEADERSTYLEで「マルチ引出線スタイル管理(Multileader Style Manager)」を開き、引出線の形式・ランディングの長さ・矢印・内容タイプ(文字かブロックか)を定義しましょう。

スタイルを決めておくと、図面内のすべての引出線で矢印や文字の大きさがそろいます。会社やプロジェクトで表記ルールが決まっているなら、スタイルとして保存しておくと使い回せて便利です。

引出線を追加・整列してきれいにまとめる

1つの注記から複数の部材を指したいときは、MLEADEREDITで既存のマルチ引出線に引出線を追加できます。同じ「ここは防火区画」という注記で、離れた複数の壁を1つのオブジェクトからまとめて指せるわけです。

引出線が増えて散らかってきたら、仕上げの整列コマンドが役立ちます。MLEADERALIGNは複数のマルチ引出線を整列・等間隔に配置し、MLEADERCOLLECTはブロックを内容に持つ引出線を行や列に集約して、1本の引出線でまとめて表示します。図面枠の情報のように自動で更新したい注記が必要なら、テーブルとフィールドで自動更新する表を作るを参照してください。

寸法設定でつまずきやすい点についての編集部の所感

公式ドキュメントを読み解くと、初心者がつまずくところは3つに集約されます。文字サイズがそろわない、動かしても更新されない、数値を直したい、この3つです。いずれも、寸法が測定結果だという仕組みに立ち返ると、対処の見当がつきます。

Autodesk公式ヘルプの記述をたどると、文字サイズの問題は寸法そのものではなく尺度(DIMSCALEや注釈尺度)の設定に原因があるとされています。寸法コマンドをいくら覚えても解決しないため、尺度の考え方を別で押さえる必要があるでしょう。この切り分けは、公式でも尺度側の設定として説明されている部分です。

「動かしても更新されない」問題は、関連付け(DIMASSOC)という仕組みを知っているかどうかで、対処のスピードが変わります。公式のコマンドリファレンスによれば、DIMREASSOCIATEで付け直せば連動が戻る設計になっています。原因が「関連付けの切れ」だとわかれば、闇雲に引き直さずに済むわけです。

作業順という点で見ると、スタイルを先に決めてから記入する流れが後戻りを減らすと考えられます。矢印や文字の見た目を後からまとめて直せるのがスタイルの利点なので、最初に整えておくほど、図面が増えたときの修正が軽くなります。

寸法を正確に扱えるようになった先の活用シーン

寸法記入をコマンド単位ではなく「スタイル→記入→編集」の流れで扱えるようになると、図面を仕上げるスピードと見た目の両方が変わってきます。ここでは、その先の実務でどう活きるかを描いておきましょう。

たとえば住宅の平面図で、通り芯と開口の連続寸法を引く場面を考えてみます。直列と並列を使い分けられれば、窓の並びと基準からの累積寸法を、線の高さをそろえて一気に引けるはず。間隔の均等化と交差の処理まで手が回れば、密な図面でも読みやすい寸法になります。

さらにマルチ引出線で仕上げ表記や参照注記を加え、整列させれば、図面全体が整った印象に近づきます。ここまで扱えると、次は引いた寸法を実際の縮尺の図面に載せる工程へ進めるでしょう。モデル空間で描いた図をレイアウトに配置する手順はレイアウトとビューポートでモデルを図面化するで解説しています。

図面修正が入ったとき、手打ちの人と関連付けの人とでは、直す手数に大きな差が出ます。前者は数値を1つずつ直す必要がありますが、後者は図形を直せば寸法が自動で追従します。この違いが、図面枚数が増えるほど効いてくるわけです。

まとめ

AutoCADの寸法記入は、寸法が図形に連動する(関連付け=DIMASSOC)測定結果である、という前提を押さえるところから始まります。まず寸法スタイル(DIMSTYLE)で線・矢印・文字・単位の見た目を決めてから記入すると、あとの手直しが減ります。

記入では、対象の形に応じて長さ・半径・角度・弧長・座標を使い分け、連続寸法は直列(DIMCONTINUE)と並列(DIMBASELINE)で引きましょう。DIMコマンドを使えば、種類を自動で判別しながら時短できます。引いた後はDIMTEDIT・DIMEDIT・DIMSPACE・DIMBREAKで整え、動かしても更新されないときはDIMREASSOCIATEで付け直します。

注記はマルチ引出線(MLEADER)で引き出し、MLEADERALIGNやMLEADERCOLLECTで整列・集約すると図面がきれいにまとまります。文字サイズが図面上でそろわないときは、寸法ではなく尺度の設定を見直してください。