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ガウシアンスプラッティング|点の集まりで3Dの見た目を表す方法

編集部 読了 約8分

  • ガウシアンスプラッティング(3DGS)って、何?
  • 点群とどう違うのかが分からない
  • 建築でどう使われているのかを知りたい

写真から実在の空間を3Dで見られる方法に、ガウシアンスプラッティングがあります。しかし「点の集まり」とも説明されるので、点群(測った点の集まり)と同じだと思うかもしれません。

この記事では、ガウシアンスプラッティングの仕組みを解説します。1つ1つが持つ値、作る流れ、限界、点群・フォトグラメトリ・NeRF との違い、建築での使われ方も分かります。

ガウシアンスプラッティングは、写真をもとに、色の付いた半透明の楕円体を大量に重ねて空間を表す方法です。

ガウシアンスプラッティングとは

点の集まりと、広がり・向き・透け方を持つ楕円体の集まりを並べた図
点の集まりと、広がり・向き・透け方を持つガウシアン(楕円体)の集まり

ガウシアンスプラッティングとは、何枚もの写真や動画から、多数のガウシアンの集まりで空間を表し、すばやく描く方法です。略して 3DGS とも呼ばれ、描くとはコンピューターが画面に画像を出すことを指します。

ガウシアンは、中心が濃く、外へ向かってなだらかに薄くなる広がりです。3DGS では、この広がりを楕円体の形で持ち、色と透け方を付けて重ねます。

2023年に、フランスの研究所 Inria などの研究者が、コンピューターグラフィックスの国際学会 SIGGRAPH で発表しました。

ガウシアンスプラッティングは、写真から実在の空間を再現する方法です。学習という計算は使いますが、新しい物を作り出す生成AIとは別のものです。

ただし、3D生成AI(画像や文章から3Dモデルを作るAI)には、作った3Dモデルをこの形式で出すものもあります。

1つのガウシアンが持つ4つの値

1つのガウシアンに、位置・不透明度・形と向き・見る向きで変わる色の4つの値を書き添えた図
1つのガウシアンは、位置・不透明度・形と向き・見る向きで変わる色の4つの値を持つ

楕円体の1つ1つが、空間のどこに、どんな形で、どれだけ透けて、どんな色で見えるかを決める数値(値)を持ちます。1つのガウシアンが持つ値は、次の4つです。

  • 位置
  • 不透明度
  • 形と向き
  • 見る向きで変わる色

位置

ガウシアンは、空間の中のどこにあるかを示す位置を持ちます。位置が示すのは、楕円体の中心の3Dの座標です。

不透明度

ガウシアンは、どれだけ透けないかを示す不透明度を持ちます。薄く透けて、後ろのガウシアンの色と重なって見えるのは、不透明度の低いガウシアンです。

形と向き

ガウシアンは、楕円体の形と向きを持ちます。楕円体の3本の軸の伸びがそれぞれ違ってよいので、細長い形にも平たい形にもなれるのです。

見る向きで変わる色

ガウシアンは、見る向きによって変わる色を持ちます。つやのある床のように、同じ所でも見る向きで光り方が変わる様子を表すためです。

写真からガウシアンの集まりを作る流れ

写真からカメラの位置と粗い点を求め、点をガウシアンに置き換え、写真と見比べて値と数を直すことをくり返す流れの図
写真から粗い点を求め、点をガウシアンに置き換え、写真と見比べて値と数を直していく

ガウシアンの集まりは、写真と見比べながら、ガウシアンの値と数をコンピューターが少しずつ直して作ります。

撮ったときのカメラの位置は、写真から計算で求めるものです。その計算のときに、写真に写った物の位置も粗い点の集まりとして求まり、これが始まりになります。

その点の1つ1つをガウシアンに置き換えたら、写真と同じ視点から描いた画像が写真に近づくように、4つの値を直していきます。写真に合うように値を直していくこの作業が、学習です。

形を表すガウシアンが足りない所ではガウシアンを複製し、大きすぎるガウシアンは2つに分けます。ほとんど透明になったガウシアンを取り除くのも、この直しの1つです。

すばやく描けることと限界

すばやく描けること、よく写っていない所の乱れ、使うメモリの多さ、を並べた表
1080p で実時間に描ける一方、よく写っていない所の乱れや、学習で使うメモリの多さが限界

作ったガウシアンの集まりは、すばやく描ける一方で、よく写っていない所には乱れが出ます。描くときは、ガウシアンを画面の上に写し(投影し)、奥行きの順に重ねて色を決めます。

描く速さは、1080p(横1920×縦1080)の大きさで実時間(リアルタイム)です。視点を動かしたときの画像を、その場で次々に描けるということです。

前からある NeRF(写真から空間を学ばせたニューラルネットワークで画像を作る方法)は、学習にも描くのにも時間がかかります。

論文によると、3DGS の学習の時間は、ほかの速い方法と比べても見劣りしないものです。

一方で、よく写っていない所には乱れが出て、細長く伸びた跡や、まだらな見た目が残ることがあります。

使うメモリ(計算のためにデータを置いておく場所)が、NeRF の方法より大幅に多いのも、限界の1つです。

点群・フォトグラメトリ・NeRFとの違い

点群・フォトグラメトリ・NeRF・ガウシアンスプラッティングを、空間を何で表すかで並べた図
点群・フォトグラメトリ・NeRF・ガウシアンスプラッティングは、空間を何で表すかが違う

点群・フォトグラメトリ・NeRF・ガウシアンスプラッティングの違いは、空間を何で表すかにあります。並べると、次の表のとおりです。

何で表すかどう作るか
点群測った点の集まり3Dスキャナーなどで物や地形を測る
フォトグラメトリ写真から求めた形の3Dデータ何枚もの写真の写り方の違いから形を求める
NeRFニューラルネットワーク何枚もの写真から、ネットワークに空間を学ばせる
ガウシアンスプラッティング色と透け方を持つ楕円体の集まり何枚もの写真から、楕円体の値と数を直していく

点群は点のまま空間を表します。ガウシアンスプラッティングは、点を形と向き・透け方を持つ広がりに置き換えて表します。

フォトグラメトリも何枚もの写真から作りますが、できるのは、写真の写り方の違いから求めた形の3Dデータです。

NeRF は空間をネットワークの中の数値として持ち、ガウシアンスプラッティングは1つ1つの楕円体として持ちます。

ガウシアンスプラッティングは 1080p で実時間に描けるので、写真のような見た目の空間をすばやく見せる場面で使われています。

建築でのガウシアンスプラッティングの使われ方

実在の場所のガウシアンに計画の3Dモデルを置いて描く・オンラインの内見・建物の記録の3つを並べた表
建築では、計画の3Dモデルを置いて描く・オンラインの内見・建物の記録に使われている

建築では、計画の3Dモデルを置いて描く、オンラインの内見に使う、建物を記録する、といった使われ方があります。

たとえばレンダラー(3DCG の画像を計算するソフト)の V-Ray 7 は、ガウシアンスプラットを読み込んでレンダリングできます。ガウシアンスプラットは、ガウシアンの集まりのデータのことです。

実在の場所を写したガウシアンの集まりに、3DCG で作った物を組み合わせて描ける、というのが、2026年10月時点の Chaos(V-Ray を作る会社)の説明です。

不動産では、物件を写真のような見た目のまま歩き回れる、オンラインの内見に使われる例があります。歴史のある建物や文化財を、その時の姿のまま残す記録も、使われ方の1つです。

ガウシアンスプラッティングの仕組みを知って、点群との違いを見分けよう

ガウシアンスプラッティングの意味・4つの値・作る流れ・速さと限界・ほかの方法との違い・建築での使われ方の6つを、1つずつ並べた表
ガウシアンスプラッティングの意味・4つの値・作る流れ・速さと限界・違い・建築での使われ方のまとめ

ガウシアンスプラッティングは、写真から、色と透け方を持つ楕円体の集まりで空間を表す方法です。この記事で解説したことは、次の6つです。

  • 何枚もの写真や動画から作る方法で、生成AIとは別のもの
  • 1つ1つのガウシアンは、位置・不透明度・形と向き・見る向きで変わる色を持つ
  • カメラの位置を求めたときの粗い点から始め、写真と見比べて値と数を直す
  • 1080p で実時間に描けるが、よく写っていない所には乱れが出る
  • 点群は測った点、フォトグラメトリは形の3Dデータ、NeRF はネットワーク、3DGS は楕円体の集まりで空間を表す
  • 建築では、計画の3Dモデルを置いて描く・内見・建物の記録に使われている

点群や NeRF と並んで出てきたら、空間を何で持つ方法かで見分けてみてください。

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この記事について

PERSC編集部が、建築の制作に関わる知識を実務目線で整理しています。内容は公開・更新日時点の情報にもとづきます。誤りや古い情報にお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。