フローマッチング|ノイズから画像へまっすぐ進む作り方
- フローマッチングとは何?
- フローマッチングと拡散モデルの違いが分からない
- 整流(Rectified Flow)の意味を知りたい
Stable Diffusion 3 や FLUX.1 の説明には、フローマッチングや整流という語が出てきます。しかし、拡散モデルとどこが違うのかは、語からはつかめません。
この記事では、フローマッチングの意味、拡散モデルとの関係、ノイズと画像を直線の道で結ぶ整流の3つを解説します。少ないステップ(画像へ進む回数)で作れるモデルとの関係も分かります。
フローマッチングは、ノイズと画像をつなぐ道の向きを学習して、画像を作る方法です。
フローマッチングとは

フローマッチング(Flow Matching)とは、ノイズと画像のあいだをつなぐ道を決め、その道の向きを学習して画像を作る方法です。2022年に論文で発表されました。
ここでいう道は、ノイズ(でたらめな点のざらつき)だけの状態から画像へ少しずつ移っていく、作りかけの画像の並びです。向きは、道の途中のそれぞれの所で、次にどちらへどれだけ進むかを表します。
道の途中の所ごとに向きを集めたものは、ベクトル場と呼ばれます。上の図の矢印の1本1本が、その所での向きです。
学習では、学習用の画像ごとに、ノイズからその画像への道を決めておきます。モデルは道の途中の各所で向きを予測し、その予測が決めた道の向きに近づくように直されるしくみです。
画像を作るときは、新しいノイズから始め、モデルが予測した向きに少しずつ進むことをくり返します。進む1回1回がモデルの1回の計算で、この1回を段やステップと呼びます。
Stable Diffusion 3 や FLUX.1 では、プロンプトの数値が、向きを予測するときの手がかりです。
フローマッチングと拡散モデルの違い

フローマッチングと拡散モデルの違いは、モデルが学ぶものにあります。
拡散モデルの DDPM(2020年の論文の作り方)は画像に足したノイズを予測することを学び、フローマッチングはノイズから画像へ進む向きを学びます。
ただし、2つはまったく別の作り方ではありません。フローマッチングは、拡散モデルの道も、学べる道の1つとして含む方法です。
一方で、フローマッチングでは、拡散モデルとは違う形の道も選べます。拡散モデルの道は曲がった線になりますが、ノイズと画像を直線で結ぶ道も選べます。
フローマッチングの論文の試しでは、直線の道を選ぶと、拡散モデルの道より学習も画像の作成も速くなりました。
整流(Rectified Flow)と直線の道

整流(Rectified Flow)とは、ノイズと画像を結ぶ直線の道を、できるだけたどるように学習する方法です。2022年に、フローマッチングと同じころ、別の論文で発表されました。
フローマッチングの論文には、整流の論文が同じころ、似た学習のしかたにたどり着いたと書かれています。
2つの違いは、扱う道の範囲です。フローマッチングは拡散モデルの道も直線の道も扱える方法で、整流は直線の道に絞り、学び直しを重ねて道を直線に近づける手順も持っています。
直線は2点を結ぶ最短の道で、細かい段に分けなくても正確にたどれる道です。
曲がった道をたどるには細かく何段にも分けて進む必要があり、直線の道なら1段でもたどれて、誤差(たどるべき道とのずれ)が積もりにくくなります。
上の図は、曲がった道と直線の道を、同じ大きな段で進んだ例です。曲がった道では段ごとに外れ、直線の道では外れません。
ただし、学習した整流の道は、完全な直線にはなりません。整流の論文は、学び直しを重ねて道を直線に近づけ、1段でもよい画像になったと書いています。
Stable Diffusion 3 の論文は、整流を、ノイズと画像を結ぶ道の選び方の1つとして扱っています。
この論文の試しでは、少ないステップで作ったとき、整流がほかの道の選び方より良い結果になりました。
整流のモデルと少ないステップ
![FLUX.1 [dev] と FLUX.1 [schnell] の作り方と、開発元の例のステップ数を並べた表(2026年10月時点)](/images/pers/flow-matching_04-models.png)
Stable Diffusion 3 と FLUX.1 は、整流で作られたモデルです。
FLUX.1 は、開発元の Black Forest Labs の説明では rectified flow transformer(整流の Transformer)です。
Transformer は、画像を作るときの計算を受け持つ骨組みの種類を指します。
ただし、整流のモデルなら、どれも数ステップで画像ができるわけではありません。開発元の説明の頁の例では、FLUX.1 [dev] は 50 ステップで画像を作っています(2026年10月時点)。
学習した整流の道は完全な直線ではないので、整流のモデルでも何段かに分けて進むわけです。
一方の FLUX.1 [schnell] は、開発元によると、1〜4 ステップで質の高い画像を作れるモデルです。
開発元は、この少ない回数を、[schnell] を latent adversarial diffusion distillation という方法で学習したことと結びつけて説明しています。
distillation は、日本語で蒸留と呼ばれる学習の方法の名前です。
つまり、[schnell] の数ステップは、開発元の説明では、整流ではなく蒸留の学習に結びつけられています。
フローマッチングと整流と蒸留を分けて読もう

フローマッチングは、ノイズから画像へ進む道の向きを学んで画像を作る方法です。この記事で解説したことは、次の3つです。
- 拡散モデルとの違いは学ぶもので、拡散モデルの道もフローマッチングで学べる
- 整流は直線に近い道を学ぶので、少ないステップでも誤差が積もりにくい
- 数ステップで作れる FLUX.1 [schnell] を、開発元は蒸留の学習と結びつけて説明している
モデルの説明で rectified flow を見たら直線の道を学ぶ作り方、distillation を見たら加えた学習の方法の話として読んでみてください。
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